ザコパネ観光記
ポーランドにやってくる観光客は、クラクフやワルシャワについては聞いたことがあっても、南部のタトリ山脈の麓にある美しい町、ザコパネは知らないことが多い。米国出身のCulture.plのインターン、エリザベス・ローレンスが、ザコパネや周辺のお薦めスポットを始め、耳寄りな情報を教えてくれる。
ホステルへようこそ
バスが止まり、ヤシュチュルフカ通り(ul. Jaszczurówka)に降り立った友達と私。地図を見るのはもう15回目ぐらいです。幸い「グッバイ・レーニン・ホステル(Goodbye Lenin Hostel)はこちら」という看板が目に入り、助かりました。曲がりくねった道を歩き、坂道をよいしょと上ったその先に、タトリ山脈の高峰に囲まれた、可愛らしい小さな家が見えました。メエーと鳴いて出迎えてくれた一頭の山羊は、実は凶暴になることがあるそうで、ホステルのスタッフから近づかないよう忠告を受けました。
山羊を差し引けば、私たちの滞在したホステルはとても快適でした。ザコパネはリゾート地で、リラックスできるスパや豪華な部屋を備えたお洒落な高級ホテルもたくさん。でも、倹約トラベラーの私たちには、ホステルが願ってもないオプションでした。
ホステルは宿泊費が安い上、アットホームで、コミュニティの一員になった雰囲気を感じられます。世界中からやってきた旅行者に出会い、とっておきの話やお勧めのトレッキング情報を交換し合いました。偶然にも父と出身地(ニューヨーク市ロングアイランド)が同じ男性がいて、ポーランド南部の農園で働いていたそう。ニュージーランド出身で世界一周6ヶ月の新婚旅行中のカップルと部屋が一緒になり、最高のハイキングコースを教えてもらいました。
朝食込みだったので、食事の際に他の宿泊客と話ができました。ふかふかのソファ、カラフルな内装と大きな本棚があるコモンルームでくつろぎ、おしゃべりしながらの朝ごはんです。停電があったり、猫がベッドに上ってきて死ぬほどびっくりする事件もありましたが、このホステルでの滞在は快適でした。美しい景色、ハイキングコースへの近さ、感じのよい雰囲気と手頃な宿泊費など、猫の一件もひっくるめて価値があったと思います。ザコパネで他のホステルに泊まったわけではないけれど、自分の経験から、皆さんにも強くお薦めします。割安でフレンドリーなのは、断然ホステルです。
美しい眺め、写真映えスポットと、大満足のハイキング
Picture display
standardowy (864px desktop)
モルスキェ・オコ。写真:Grzegorz Momot / PAP
Picture image
morskie_oko_pap_20171018_0YI.jpg
初日は寒くて雨が降っていたので、滑りやすい山道はやめ、代わりにザコパネでもっとも美しい場所の一つ、モルスキェ・オコ(Morskie Oko)〔直訳は「海の眼」〕に歩いて行くことにしました。タトリ国立公園の奥深く、ミェングショヴィェツキ峰(Mięguszowieckie Szczyty)の麓にある湖です。往復4時間の道のりですが、目的地に着いたら足を休め、湖のそばのロッジで食事もできました。湖の周りを一周しながらたくさんの滝を見つけ、景色も全方向から存分に楽しみました。足は疲れましたが、自分が何キロ歩いたかがヘルスアプリでわかり、行ってよかったと心底思いました。たくさん歩くのに気乗りがしない場合、モルスキェ・オコまで往復の馬車サービスもあります。
翌日のお天気はもっとよかったので、ヴィエルキ・コピェニェツ(Wielki Kopieniec)に登りました。アマチュア登山者も挑戦できるコースとは言え、かなり疲れました。山登りは決して簡単ではありません。でも山頂に着くと、まだ息をぜいぜい切らせつつ、ほぼ一瞬で、どんなに険しい道のりだったかすっかり忘れてしまいました。周囲の山々とザコパネの町が一望でき、息を呑むような美しさだったのです。思わずインスタグラムにいくつも投稿したくなりました。
ヴィエルキ・コピェニェツの山頂では、友達がギェヴォント山(Giewont)を指して教えてくれました。峰の一つに15メートルの鉄製の十字架が立っています。ギェヴォント山は割に挑戦しやすい上、目の覚めるような眺望でとても人気があります。ただ、雨天の場合はかなり危険になり得ることでも有名で、ザコパネ滞在中、雷雨が重なる時は避けた方がいいでしょう。
Picture display
standardowy (864px desktop)
南方から見たギェヴォント山。写真:Wikimedia Commons
Picture image
Giewont_WikimediaCommons.jpg
カスプロヴィ・ヴィエルフ(Kasprowy Wierch)も、圧巻の美しい景色が楽しめる山です。もちろん登山できますが、ザコパネ滞在の最終日にまた雨が降ったので、私たちはケーブルカーで山頂まで行きました。ただ、前もってチケットを購入しなかったのは大失敗。2時間ぐらい列に並んで待つ羽目に……これは何が何でも避けたいですね。
他にもたくさんのハイキング・登山コースがあります。実は、ヴィェルキ・コピェニェツから下山する際、他の道を見つけてそれに沿って歩いていたら、新鮮な自家製の山羊のチーズを売っている男性に出くわしました。そう、ぜひ直感にしたがって、思いついたまま行動するのを怖がらないこと!新たな冒険へと導かれたり、嬉しいことに、新鮮なチーズとの出会いも待っているかもしれませんよ。
町の様子
Picture display
standardowy (864px desktop)
ザコパネ中心部、クルプフキ通りでダンスを披露する高地人。写真:Marcin Szkodziński / Forum
Picture image
krupowki_zakopane_szma_010718_06.jpg
ザコパネに着いた日は登山の時間はなかったので、町の中心部、クルプフキ通り(ul. Krupówki)を探検しました。衣料品店がたくさんあり、下着を持ってくるのを忘れてしまった私は大助かり。土産物の店や自分の絵を売っているアーティスト、チーズの屋台もありました。
クルプフキ通りのタトリ博物館、ザコパネ、ポーランド。
残念なことに私たちは時間が足りませんでしたが、ミュージアム好きな人は、ザコパネの歴史が展示されている、クルプフキ通りのタトリ博物館に行ってみては。教会めぐりが好きな人にも朗報です。ポーランドはほとんどどこもそうですが、ザコパネにもたくさん教会があり、中にはとても珍しい木造建築も。
ザコパネでは、探すと楽しいアクティビティもたくさんあります。私たちは偶然マッサージ店を見つけたので、フットマッサージを頼みました(実際には全身マッサージを受けることになり、予想外。でも、よかったです)。絶品のアイスクリームも見つけました。ダンスフロアがあって伝統的なポーランド高地の音楽を聴けるレストランや、1980年代のバンドLady Punkの「Zawsze Tam Gdzie Ty(君がいる場所にいつも)」や同じ頃のPerfectによる「Nie Płacz Ewka(エフカ、泣くな)」など、ポーランドの懐メロをライブ演奏するレストランもあり、友人が興奮していました。
そう、町では心のままに歩き回り、発見あるのみです!もちろん、休暇で最も楽しみなことの一つ、食べ物にも目を光らせてくださいね。
チーズ、ビゴス、ピエロギ――ポーランド必須の料理
Picture display
standardowy (864px desktop)
伝統的なポーランド高地のチーズ「オスツィペク」。写真:Magdalena & Tomasz Jodłowscy / Forum
Picture image
oscypki_oscypek_joto_191006_14.jpg
ザコパネはチーズの名産地で、チーズが大好きな私には願ってもない場所。最も有名なのはタトリ地方の特産品、オスツィペク(oscypek)と呼ばれる羊乳の燻製チーズです。ザコパネではそこら中で売られており、塩味控え目のもの、やや強いもの、1番塩辛いものの3種類から選べます(それぞれ名前もついているはず)。私はどの種類も、いくつか買いました。クランベリーソースと合わせると実に美味しいので、ぜひお試しあれ。
ポーランド料理は、ひとことで言うなら「どっしり」。ザコパネの食事も例外ではなく、普通のポーランド料理よりさらに重たいように感じました。定番は「ビゴス(bigos)」という肉とキャベツの煮込み、ポテトパンケーキ(placek ziemniaczany)、そしてもちろん「ピエロギ(pierogi)」。町の中心部を歩いていると、このタイプの料理を出すレストランがたくさんあり、美味しそうな匂いがしてきます。一日中ハイキングした後、友達と私はお腹がぺこぺこで、レストランに入るや否や、1番食べ応えのありそうな料理を注文しました。私が選んだのはポテトパンケーキのサワークリーム添え。もちろん最高でした。
Picture display
standardowy (864px desktop)
タトリ山地の「ポーランド五沼の谷(Dolina Pięciu Stawów Polskich)」。写真:Łukasz Gagulski / Forum
Picture image
zakopane_galu_240815_06.jpg
ザコパネを去るのは寂しい限りでしたが、旅の終わりにはお腹も心も満たされ、身体もたっぷり動かして、ワルシャワのインターンシップに戻る準備がすっかり整っていました。5時間の列車の旅の間、二人ともほぼ爆睡。疲れ切っていたものの、満ち足りた気持ちでした。
ザコパネに行くのであれば、何より自分が好きなことをすること。これが1番のアドバイスです。本格派の人は、ぜひ登山に挑戦を。高い山に登るのが怖くても、ケーブルカーに乗って行けば、カスプロヴィ・ヴィェルフ山頂からの見事な眺望が待っています。ザコパネでは誰でも、自分にぴったりのものが見つかります。ぜひ旅を楽しんで、そしてチーズを味わってくださいね。
執筆:エリザベス・ローレンス(Elizabeth Lawrence)、2018年7月、改訂:2022年8月
日本語訳:柴田恭子(Yasuko Shibata)、2025年12月