ポーランドの変わったホテル
快適なベッド、よい眺望、朝食付き、上品な家具や柔らかいじゅうたん――どれも重要ポイントだが、口コミでは過大評価されがち!ホテルは世界中、どこも似たり寄ったりで、人によってはつまらなく感じることも。幸い、もっと普通ではない場所に泊まることもできる。ちょっと変わったポーランドのホテルを、Culture.pl厳選リストでいくつか紹介しよう。
まず、注目のアウトル・ルームズ(Autor Rooms)は、デザイナーズホテル愛好家のパラダイスだ。このブティックホテルはワルシャワ中心部、古い石造りの住宅建築の中にあり、洗練されたオリジナルな客室を4部屋備えている。有名デザイナー・アーティスト・建築家がそれぞれの部屋を設計し、現代ポーランド建築の生きた見本とでも言えるだろう。このホテルにはいい加減なものが何もない。家具や備品からバスローブ、化粧品やカトラリーに至るまで、すべてポーランドのデザイナーが創り出し、特別にセレクトしたものが置いてある。
アウトル・ルームズの設立者は、ポーランドの設計事務所「Mamastudio」のマグダ・ポナガイボ(Magda Ponagajbo)、ミハウ・パヴリク(Michał Pawlik)とピォトレク・レンチャイスキ(Piotrek Ręczajski)。彼らはホテルを作り上げるため、多くのポーランド人デザイナー、アーティストや専門家と協力し、各自の専門分野の知識が活かされている。
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地下135メートル、ヴィエリチカ岩塩坑の客室、「スタイニャ・グル・フスホドゥニフ(Stajnia Gór Wschodnich)の部屋」、写真:grandsal.pl
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ポーランドでもっともよく知られている二つの岩塩坑は、どちらもユネスコの世界遺産で、一般客に地下の宿泊サービスを提供している。ヴィエリチカ(Wieliczka)では「スウォヴァツキ(Juliusz Słowacki;1809-1849。「詩聖」と呼ばれるポーランド・ロマン主義の国民的な詩人のひとり)の部屋」に泊まることができる。ボフニャ(Bochnia)の客室は、なんと地下250メートル!室内の温度は14-16度と低いが、ここでの宿泊は冒険以上の経験だ。岩塩でできた部屋には、呼吸器系によい効果をもたらす独自のミクロ環境があり、アレルギー症状を和らげ、免疫力を高めるそうだ。
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ピラミダ・ホテル(Hotel Piramida)、ティヒィ、写真:Grzegorz Celejewski / AG
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ポーランド南部の街、ティヒィ(Tychy)から古代を連想する人はめったにいないだろうが、ここには実は……ピラミッドがひとつある。クシシュトフ・バルィシュ(Krzysztof Barysz)とアレクサンデル・ノヴァツキ(Aleksander Nowacki)がデザインしたこの5つ星ホテルは、2004年、パプロツァヌィ湖(Jezioro Paprocańskie)保養地からほど近い場所に建てられた。
この目立つホテルが建設されたのは、ヒーリングパワーがあると信じられている丘の上。この「ピラミッド」の下には、非常によいエネルギーが湧き出す場所、チャクラがあるとか。われわれを元気づけてくれる大地の力を信じない人も、ホテルの「YASUMI」スパを訪れてリラックスし、レストラン「クレオパトラ(Kleopatra)」やロビー・バー「ネフェルティティ(Nefretete)」、またはドリンク・バー「ラムゼス(Ramzes)」で美味しい食事を楽しむことができる。ティヒィのホテルの建物のモデルは、エジプト北部、ギーザ(Giza)の大ピラミッドで、スケールは5分の1だ。
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これはゆったりしたスペースではなく、新しい経験が好きな人のためのオプション。カプセル・ホテルは日本では珍しくないが、ポーランドでは、1名用カプセルに宿泊できるホステルはかなり奇抜な存在だ。この見慣れない形のホテルがあるのは、ワルシャワの閑静な住宅街、ジョリボシュ(Żoliborz)地区。長方形のカプセルは大きくはないがとても快適で、伝統的な古いホテルの客室と比べ、ユニークなのは間違いない。
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ラララ・アートホテル、ソポト(Sopot)、写真:広報資料
ここには連泊して、日によって違う部屋に泊まるのがおすすめ。ラララ・アートホテル(Lalala Arthotel)は、めちゃくちゃアートな空間だ。各部屋とバスルームが、それぞれ異なるアーティストによって創られた、小アート作品になっている。ダークな感じの部屋もあれば、内装がミニマリストのもの、そして色にはじける部屋も。壁はフレスコ画や彫刻で覆われ、ベッドが人工の動物で囲まれている部屋もある。
フォークロア、神聖、エキゾチックなど、部屋によってテーマが異なる。落ち着いたエレガンスからクレイジーなキッチュまで、全体のトーンもさまざまだ。
古城ホテル――クションシュ(Książ)、グニェフ(Gniew)、レシェル(Reszel)、ルィン(Ryn)、ゴルプ=ドブジン(Golub-Dobrzyń)、モシュナ(Moszna)、ルィヂィナ(Rydzyna)、その他
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お城に泊まるのは、お姫様やナイトになりたいという、子どもの頃の夢を叶えるチャンスであるだけでなく、「騎士道の時代」を実感する、特別な機会でもある。ポーランドの古城ホテルの宿泊施設も色々ある。王の部屋や地下牢に泊まることもできるし、素晴らしいバロック様式の装飾がほどこされた部屋があるかと思えば、21世紀の設備がついた近代的なスペースも。近頃は中世の城にも、近代的な会議室、プールやスパが備わっているのだ。
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19世紀、ドイツの実業家が、ウッチ市近くの街、パビャニツェ(Pabianice)に大きな織物工場を建設し、第二次世界大戦後、これがパヴェラナ(Pawelana)毛織物工場の場所となる。この工場は、アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)監督の名画『約束の土地(Ziemia Obiecana)』(1974)のセットとしても利用された。
1989年の体制転換後、ウッチ県の他の多くの産業施設と同様、この工場は閉鎖される。2007年、劣化を続ける工場の建物の新しい所有者が、その再生と拡張を目的としたコンペを発表。その後の数年間で、古い工場の建物内に、ホテル、オフィスや店舗、その他のビジネスが登場することになった。このホテル、ファブルィカ・ヴェウヌィ(Fabryka Wełny;意味は羊毛工場)は4つ星のクオリティ、また昔の産業施設の面影を残す、特別な雰囲気の空間だけでなく、カンファレンス・センターや娯楽センター(特にボーリング場など)も備えている。
「木々の中で(W Drzewach)」、ナウェンチュフ(Nałęczów)
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ツリーハウス、ピォトル・ヤクボフスキ(Piotr Jakubowski)設計、写真:Piotr Tuora
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「真のリラクゼーションは、地上2-3メートルから始まる」――こう断言するのは、ルブリン地方の有名ヘルスリゾート地にある、居心地のよいホテルの創立者たち。このホテルは、どのような伝統的な宿泊施設にも似ていない。というのも、地表から離れた小さな家々から構成され、木々の中に隠れているからだ。このホテルは、子どもの頃に木登りが大好きだった人、ツリーハウスを手に入れるのをいつも夢見ていた人、そして何より、自然に囲まれて心底リラックスしたい人にぴったりだ。なんと言っても、現実世界を忘れるのに、木々の葉に囲まれ、静かな、もちろん木でできたツリーハウスよりもよい場所はないだろう!
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HT ハウスボート(HT Houseboats)、ミェルノ
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ポーランドの北東部、ポモジェ地方のミェルノ(Mielno)にあるヤムノ湖(Jamno)のほとりに、水辺を愛する人のためのホテルがある。この宿泊施設は、桟橋の上に建てられた小さな木造ハウスだ。それぞれのハウスに専用のテラスと、湖の景色をのぞむパノラマ・ビューの窓がついている。何よりよいのは、1年を通して宿泊できること。冬の湖は絶景!ハウスによっては暖炉やサウナまでついているので、はっきり言ってここに滞在中は、どこにも出かける必要がない。
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レストラン「ツァルスカ」(Restauracja Carska)、ビャウォヴィェジャ。グリーン・ルーム、写真:広報資料 / carska.pl
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1902年、ロシア皇帝ニコライ2世は、ビャウォヴィェジャ(Białowieża;現在のポーランド最北東部のポドラシェ県に位置し、東部はベラルーシと国境を接する)に鉄道駅の建設を命じた。ビャウォヴィェジャ・トヴァロヴァ(Białowieża Towarowa)駅は、本来の目的ではもう、長いこと使われておらず、2003年、ここにツァーリ時代の雰囲気を残すレストランとホテルが建てられた。丁寧に改装され、豪華な装飾をほどこされた木造の建物には、当時の家具が置かれている。駅の一部が客室に変えられており、歴史ある給水塔、鉄道保線員の小屋、そして引き込み線に並ぶ豪華車両の、スタイリッシュな特別客車に泊まることができる。
執筆:アンナ・ツィメル(Anna Cymer)、2017年8月
日本語訳:柴田恭子(Yasuko Shibata)、2024年4月