ポーランドの伝説を辿って
ポーランドを巡るツアーでは、独特の伝説と関係のある観光地をいくつか訪れるのが一般的だが、ほとんどの旅行者は、その背後にある物語を見落としてしまう。旅仲間に教えてあげてもよし、訪れた場所を最大限に堪能するための、ありきたりではない魅力的なポーランドの伝説をご紹介します。
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クルシュヴィツァにあるゴプウォ湖のほとりに立つネズミ塔,ポーランド中部,写真:Jan Włodaczyk / East News
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古い伝説によれば、この塔の中で、9世紀のスラブ人の統治者ポピエル(Popiel)公とドイツ出身の妻Brunhildaが、ネズミの大群に生きたまま食べられたという。このむごい結末は、夫婦が欲のために何人もの親戚を毒殺するという罪深い所業が招いた結果だった。
ネズミ塔は、ポーランド中部の町クルシュヴィツァ(Kruszwica)にあるゴプウォ(Gopło)湖のほとりに立っている。塔が建てられたのは14世紀で、伝説の時代よりかなり下るため、物語はマインツ大司教ハットー2世(Hatto II)の悲惨な運命をなぞったものではないかと考えられている。
付け加えると、ポーランドの民話では、ポーランド人とドイツ人の恋愛は悲劇的な結末を迎えることが多い。たとえば、クラクフの王女ヴァンダは、ドイツの統治者との結婚を拒絶して川に身を投げたことで知られている。
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クラクフのヴァヴェル城の丘にある竜の洞窟,写真:Wojciech Pacewicz / Forum
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クラクフを旅行すれば、あふれるほどのドラゴン・グッズが売られていることからもわかるように、町はかつてこの恐ろしい生き物の住処だった。竜は住民を散々悩ませたあげく、その報いを受けることになった。伝説の最も有名な16世紀のバージョンによると、竜は、若くて聡明な靴屋によって騙され、タールなどの有害物質が詰まったダミーの羊を食べて、消化不良のため死ぬ。竜を退治した知恵の働く青年は、褒美として町の統治者クラク公の娘と結ばれる。
竜の洞窟はヴァヴェル城の丘で見ることができる。入り口にはブロニスワフ・フロムィ(Bronisław Chromy)作の竜の彫刻が立っている。かつて、2007年には、指定された番号宛にSMSを送ると、彫刻が口から火を吹く仕組みだった。残念ながら竜は気性が荒くなりすぎた。現在は、3分ごとに自動的に火を吹いている。
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ルブリン博物館にある悪魔の手,写真:Jakub Orzechowski / Agencja Gazeta
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「悪魔の裁きのほうが公平だったでしょうよ!」かつてルブリンの法廷で、無実の寡婦がこう叫んだ。賄賂で買収された陪審によって有罪とされたのだ。翌日の晩、悪魔がルブリンの裁判所にやってきて、公平な判決を要求した。おそらく文字が書けなかった悪魔は、新しい判決に手形を押して署名とした。伝説に登場する裁判所の机には、手の形の焼け跡が残っており、現在はルブリン博物館に展示されている。
4. ヴィエリチカ岩塩坑(Kopalnia Soli Wieliczka)
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ヴィエリチカ岩塩坑,写真:Szymon Łaszewski / Forum
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この見事な岩塩坑は指輪の伝説と結びついている。かつてボレスワフ5世純潔公(Bolesław V Wstydliwy)はハンガリー王女キンガに婚約指輪を贈った。ところがキンガはすぐにこの指輪をハンガリーの岩塩坑に投げ捨ててしまった。理由は諸説ある。クラクフでの婚礼の翌日、キンガは近郊の町ヴィエリチカの地面を掘るように命じた。すると塩の塊が掘り出され、中にはなんとあの指輪が入っていた。「これが私の持参財です」キンガは続けた。「ここに岩塩坑を作りなさい」。
これが、何世紀にもわたって塩の供給源となったヴィエリチカ岩塩坑の始まりの伝説である。現在、岩塩坑は稼働していないが、観光客向けに公開されている。
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金のアヒル,フレデリック・ショパン博物館,写真:Arkadiusz Ziółek / East News
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フレデリック・ショパン博物館を訪れた人は、正面玄関近くの噴水にいるみすぼらしい小さな金のアヒルが目に入るだろう。この伝説が最初に印刷された1925年の版によると、貧しい靴屋が、金のアヒルの正体は呪いをかけられたお姫様であることを知る。お姫様が人間に戻れるのは、100ドゥカートの金貨を誰とも分け合わずに使い切ることのできる男性を見つけたときだという。倹約家の靴屋は、この大金を自分のために使い尽くすことはできず、結局その大半をより貧しい者にやってしまう。
この展開は、典型的なお伽話とは違っている。お姫様は貧しい靴屋によって救われないのだ。一方、靴屋は金のアヒルを見捨てたすぐ後に富と愛を手に入れ、ハッピーエンドを迎える。
6. ヘラクレスの棍棒(Maczuga Herkulesa)
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オイツフ国立公園にあるヘラクレスの棍棒,写真:Jerzy Pawłeta / Forum
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オイツフ国立公園(Ojcowski Park Narodowy)にある奇妙な形の石灰岩の柱は、19世紀の作家で民俗学者のカジミェシュ・ヴワディスワフ・ヴイチツキ(Kazimierz Władysław Wóycicki)が書いたパン・トファルドフスキ(Pan Twardowski)についてのお伽話の中に「ハヤブサ岩(Sokola Skała)」という名前で登場する。貴族のトファルドフスキ氏は、ローマで魂を抜くという条件で、悪魔に魂を売る。承諾した悪魔は、トファルドフスキ氏に莫大な富を与え、契約成立を祝って、巨大な岩をひっくり返す。
これが「ハヤブサ岩」、最近では「ヘラクレスの棍棒」と呼ばれる高さ25メートルの岩柱である。実際、上に行くほど幅が広がっているため、岩が逆さに立っているように見える。最終的に、トファルドフスキ氏はローマという名前の宿屋に行くよう悪魔に騙され、そこで契約を果たす羽目になる。
執筆:マレク・ケンパ(Marek Kępa),2015年9月
日本語訳:パヴェウ・パフチャレク(Paweł Pachciarek)、YA、2021年7月