幸い、ポーランドで有名なのは、民族衣装のスカートを身につけた魅力的な女性たちだけではない。伝統的な装飾アートの人気が復活する中、ポストカードやマグカップ、民族衣装スカートを始め、ポーランドならではの装飾を施した、多くの製品が手に入る。
と聞けば、これらの民芸がどんなものか、気になるところ。
これを読んでいる人は、既にネットで「ポーランド文化」を検索し、ダンサーやキェウバサ(kiełbasa, ソーセージ)、そしてちょっと不気味な民芸人形を目にしたことだろう。このカラフルな卵は一体何かと首をかしげている人がいたら、ここはまさに、ぴったりの場所。1番気になる見出しから読み、自分の内なるポーランド魂を発見しよう。
何と言っても卵!

ピサンキ(ポーランドの絵付けされたイースターエッグ)。写真:Andrzej Sidor / Forum
卵に絵付けを施す伝統は、古代メソポタミアを起源とし、そこから地中海沿岸地方に広がった。最古の絵付け卵はシュメール文明のもので、5000年前に生まれた。ポーランド最古の「ピサンキ(pisanki)」(絵付けされた卵の伝統的な名前で、単数形は「ピサンカ(pisanka)」)は10世紀末に遡る。
スラヴの信仰では、卵は太陽神崇拝と関わりがあり、新しい命や誕生を象徴する。毎年、春になって大地の生命が冬の眠りから目覚める時、古代のポーランド人は互いに卵を贈り合った。キリスト教の復活祭(イースター)では、卵はまず家族に、そして1週間ほどしてから親しい友人に贈られた。
卵への絵付けは、かつては女性だけに許されていた。絵付け作業が真っ只中の部屋に男性が足を踏み入れようものなら、女性たちは、この侵入者が卵にかけてしまったかもしれない呪いを取り除かなければならなかった。
マロヴァンキ。写真:Marian Zubrzycki / FOTORZEPA / Forum
卵を飾るにはさまざまな方法がある。「クラシャンキ(kraszanki)」〔「色をつける」という意味の動詞「クラシッチ(krasić)」から〕は「マロヴァンキ(malowanki)」〔「彩色する」という意味の「マロヴァッチ(malować)から〕とも呼ばれ、玉ねぎの皮、くるみの殻、ビーツの汁や、色々な花の花びらで作られた、天然の染料で卵を染めるピサンキの1種だ。それぞれの素材が色を出し切るまで煮て、染料ができたら、そこに卵を入れて茹でる。現在は人工の食紅も使われている。
そうして染まった卵の殻の表面を、尖った道具でひっかいて、もともとの卵の色をあらわにし、ピサンカの模様を施す。これはドラパンキ(drapanki)〔「ひっかく」という意味の「ドラパッチ(drapać)」から〕と呼ばれる。針、錐(きり)、わらや小枝はすべて、卵の殻の上に模様を刻み、縞模様をつけるのに役立った。
卵の表面に液状の蜜蝋で模様や絵を描いてから染料につけ、最後に加熱して蝋を取り除く、ろうけつ染めをすることもある。
地方によっては、毛糸やニワトコの花びら、ガマ、色とりどりの紙·布の切れ端を貼り付け、「オクレヤンキ(oklejanki)」〔「貼りつける、包む」を意味する動詞オクレヤッチ(oklejać)から〕を作る。オクレヤンキと似ているのが「ナレピャンキ(nalepianki)」〔「くっつける、貼り付ける」を意味する動詞ナレピッチ(nalepić)から〕で、色紙の切り絵を用いる。これはかつてのクラクフ県や、ワルシャワの西80 kmほどに位置するウォヴィチ(Łowicz)地方でよく見られる。
卵は「ヴィドゥムシュキ(wydmuszki, 単数形はヴィドゥムシュカ wydmuszka)」〔「吹き飛ばす、吹いて出す」を意味する動詞ヴィドゥムハッチ(wydmuchać)から〕になることもある。ヴィドゥムシュカを作るには、卵の上部と下部に一つずつ穴を開け、一方から息を吹き入れ、もう一方の穴から白身と黄身を殻の外に出す。
アジュルキ――透かし彫りのピサンキ。写真:Mateusz Skwarczek / AG
とりわけ目を奪われるのが「アジュルキ(ażurki)」、つまり透かし彫りのイースターエッグだ。ここで、前述のヴィドゥムシュカが出番となる。中身がなくなった卵の殻に、錐、研磨機、歯科用ドリルやCNCマシンを使って模様を彫りこんでいく。模様を彫り終えたら彩色に移る。アクリル絵の具が用いられることが多い。
これらの卵は、ポーランドの復活祭の華やかな行事の、ほんの一部にすぎない!