繊細なまなざし
マグダレナ・ブルジンスカは1977年、タルヌフ(Tarnów)に生まれ、アルトゥル・グロットゲル国立美術高校に通った。クラクフ美術アカデミー絵画学科を卒業し、2002年にアダム・ブリンケン(Adam Brincken)教授のアトリエで学位制作を完成させた。一貫して実践された情熱は、国内外での絵画展開催という形で実を結んだ。
彼女の絵画は一見してわかるような単純なものではなく、表現力と象徴性に満ち、幻想的でありながら同時に写実的である。その緊張関係を如実に示したのが、BWAタルヌフ(タルヌフ市立ギャラリー;BWA Tarnów)で開催された展覧会「Rzęsa z oka wilka(オオカミのまつ毛)」に出品された作品群である。展覧会タイトルは南米の寓話に由来している。物語では、警告を顧みず森の奥深くへ足を踏み入れた少女が、そこに住むオオカミと出会う。少女は勇気をもって罠にかかった獣を解き放ち、そのお礼にオオカミの目から一本のまつ毛を受け取るのである。それ以来、彼女は容易に善悪を見極めることができるようになり、公正な判断を下す、強い存在となった。画家の作品もまた同様に、鮮烈で、荒々しく、予想を裏切る力を放つ。しかし、凍てつく風景、柔らかな獣の毛皮、子どもの世界と陰鬱な現実の対比は、決して幸福な結末を予感させるものではない。物語の結末を知るためには、森の奥へと分け入るほかないのである。
よくデザインされたもの
ブルジンスカは、ビジュアル・アイデンティティ、ポスター、書籍、パッケージ、レコードジャケット、展覧会の空間構成などのデザインを手がけている。これまでに、ポーランド・ユダヤ人歴史博物館ポリン(Muzeum Historii Żydów Polskich Polin)、ワルシャワ国立美術館(Muzeum Narodowe w Warszawie)、ウッチ美術館(Muzeum Sztuki w Łodzi)、ウヤズドフスキ城現代美術センター(CSW Zamek Ujazdowski)、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート、そして日本美術技術博物館 “Manggha”(Muzeum Sztuki i Techniki Japońskiej Manggha)などと協働してきた。
2013年以降、ブルジンスカは故郷タルヌフの市立ギャラリー・BWAタルヌフと協働している。同館で開催されるイベントのビジュアル・アイデンティティを手がけてきたのである。彼女の創造的な仕事の恒久的な痕跡として残るのが展覧会カタログであり、その完成度は自立した芸術作品として扱っても差し支えない水準に達している。少い部数で制作されることが、さらにその価値を際立たせている。
注目すべき出版物のひとつに、デザイン展に併せて制作された『Błądzenie jest rzeczą(迷うことは人の常)』がある。この展覧会はタルヌフにとどまらず、ジェロナ・グラ(Zielona Góra)、ヴロツワフ(Wrocław)、キェルツェ(Kielce)などでも開催された。ブルジンスカのデザインにおいては、取り消し線、色彩の実験、あるいは欠陥の美学といった要素が一つの手法となり、書籍の内容に対する批評的対話を形成している。この作品は雑誌『Aktivist』によって年間最優秀グラフィックデザインのひとつに選ばれ、その理由を次のように説明している。
ハードカバーの冊子は、ただ一つの規範――美――に従っている。展覧会の制作者たちが迷いや誤りにインスピレーションの源を見いだすように、このアルバムの作者もまた各ページで新たなグラフィック表現を追求している。そして彼女は決して迷わないのである。
ポーランドのグラフィックデザインの全景を紹介する年刊誌『Print Control』は、展覧会「Ars moriendi/ Sztuka umierania(Ars moriendi/死の技法)」のカタログを高く評価した。ブルジンスカはこのカタログにおいて、死という主題に対するアーティストたちの感情――恐れ、否認、克服の試み、運命との戯れ、距離の取り方――を映し出している。その効果を生み出しているのはコントラストと反復である。ソフトカバーはまるで大理石の墓碑のように見え、紙面には虹色のグラデーションが施され、カバーに切り抜かれた棺の形を際立たせている。さらにこの象徴はカタログ内部で繰り返され、圧倒的な三次元的錯覚を生み出す。パステル調の色彩は、死や無常に関する思索に柔らかな背景を与え、現代的視点と伝統的視点とを対峙させているのである。
同じ色調が、『Dźwięki i szwy(音と縫い目)』では、鮮やかなトーンで支配的となっている。この両面構成の出版物は、2015年にBWAタルヌフで開催された講演・ワークショップ・コンサートのシリーズに合わせて制作されたものである。マルチン・ディミテル(Marcin Dymiter)による現代音楽に関するエッセイは、曲目や参照リストで締めくくられており、その冒頭を飾るのは、黒地に描かれた白い正弦波のような線――音の強弱のグラフィック記録を思わせる図像である。一方、れっきとした文化の一分野としてのファッションをテーマとする章の導入部には、斜線の配置によって縫い目を模した図像が置かれている。棺のモチーフが繰り返されるデザインと同様に、ここでも立体感とリズム化された空間の効果が生み出されているのである。さらにデザイナーは受け手の創意に余地を与え、数枚の白紙ページをノート用に残している。こうした仕掛けのすべてが、ブルジンスカの仕事において、書籍内容とグラフィックデザインの一貫性がいかに重要であるか、そして直喩がいかに抽象に近づくかを示しているのである。
先に挙げた視覚的に強烈なプロジェクトに対する対照となっているのが、より抑制されたカタログ『Sprawna ręka(巧みな手)』である。大判サイズ、独特な手触りの表紙の質感、そして紫の基調色が、モシェ・クプフェルマン(Moshe Kupferman)とマレク・フランダ(Marek Chlanda)の作品を調和的に包み込んでいる。ブルジンスカは展覧会のビジュアル・アイデンティティとそれに付随する出版物をデザインしただけでなく、他の数名のアーティストとともに自らの作品を加えて内容を豊かにした。カタログには次のように記されている。
1993年、タルヌフ美術高校の生徒であった頃、ウッチ美術館で開催されたモシェ・クプフェルマン展を見学しました。数年後、学業の途上で再びクプフェルマンの作品世界に立ち戻り、彼の絵画に触発された連作を描いたのです。
ブルジンスカがBWAタルヌフのために手がけた出版物やプロジェクトは、2017年にブラジル・サンパウロのトミエ・オオタケ・インスティトゥート(Instituto Ohtake)で開催されたグループ展「Eye on Poland」において紹介された。本展は、「Fontarte」スタジオを代表するマグダレナ・フランコフスカ(Magdalena Frankowska)とアルトゥル・フランコフスキ(Artur Frankowski)がキュレーションを担当し、高水準で独創的、かつ新たな潮流を切り拓くポーランド・グラフィックデザインを紹介することを趣旨としていた。
一方、クラクフ国際文化センター(Międzynarodowe Centrum Kultury w Krakowie)で2021年に開催されたグループ展「Ukraina. Wzajemne spojrzenia(ウクライナ――相互のまなざし)」では、ポーランドとウクライナの文化的・歴史的ナラティヴに焦点を当てる中で、ブルジンスカがBWAタルヌフで制作した展覧会ポスター「Wielcy sarmaci tego kraju / Wielkie sarmatki tego kraju(この国の偉大なサルマタイ人たち)」(2018–2019)のグラフィック作品が紹介された。
2016年から2020年までブルジンスカはワルシャワのグラフィックスタジオ「Podpunkt」に所属し、2020年以降は独立したデザイナーとして活動している。
独自のスタイル
ブルジンスカは自身の作品において、伝統的な版画技法と絵画精神とを結びつけている。彼女の作品群には、ミニマルで簡潔な構成から、自然から広く着想を得た、豊かで有機的な、そして鮮烈な色彩で強調された構図までが含まれている。
幾何学的な形態の繊細さと、数学的な精緻さを兼ね備えた表現は、フランスの研究機関IRIF(Institut de Recherche en Informatique Fondamentale, CNRS/パリ・ディドロ大学)のために制作された、ミニマルでありながらダイナミックなビジュアル・アイデンティティにも見て取れる。ニューヨークのデザインスタジオ「Pentagram」のパートナーであるナターシャ・ジェンは、雑誌『How Design』とともに、このプロジェクトを世界の優れたブランディング20件のショートリストに挙げた。
まったく異なる表情を見せるのが、ヴロツワフ人形劇場(Wrocławski Teatr Lalek)によって出版された書籍のデザインである。鮮やかな色彩と、時に子どもが描いたような力強い線描が、受け手を舞台芸術の幻想的な世界へと誘う。『Zrób sobie teatr(自分で劇をつくろう)』は、最年少の読者を対象とし、学びと遊びを融合させた一冊である。
ブルジンスカは書籍『Śmietnik(ゴミ箱)』のデザインを手がけた。この書籍は、1989年にタデウシュ・ルジェヴィチ(Tadeusz Różewicz)が行ったハプニングをアダム・ハヴァウェイ(Adam Hawałej)が撮影したものを、視覚的に記録・解釈したものである。デザイナーはこの多層的な出来事からその本質を抽出した。段ボールの表紙、ばらまかれたようなタイポグラフィ、くしゃくしゃになったフィルムを模したグラフィック要素が、詩人による「ゴミ出し」という特異な行為を象徴的に表現しているのである。ここでは鮮やかな色彩を排し、灰色の濃淡を用いることによって、現代的な出版デザインと、ハプニングを白黒写真に定着させた過程との間に時間的な架け橋が築かれている。こうして読者の目の前で展開される現代の舞台にふさわしい舞台装置が生み出されたと言えるだろう。この書籍は第57回ポーランド書籍出版者協会(Polskie Towarzystwo Wydawców Książek, PTWK)の「2016年最も美しい本(Najpiękniejsze Książki Roku)」コンクールで第一位を受賞した。