東京芸術劇場 シアターイースト
上演日時
11/8 (Fri) 19:00
11/9 (Sat) 15:00★
11/10 (Sun) 13:00
未来のユートピアとは?
国境、ジャンルを超えて編まれる劇場体験
現代ポーランド演劇の前線を切り拓く若手演出家、マグダ・シュペフト [Magda Szpecht] が日本・ポーランド両国のスタッフ、キャストと共に取り組むのは、劇場に「ユートピア」を出現させること。
そのアイデア、手法は、『ゲド戦記』の著者としても知られるアーシュラ・K・ル=グウィンの『オールウェイズ・カミングホーム 』にインスパイアされている。
ル=グウィンは、科学技術とは距離を置き、自然との精神的な絆を保ち続ける遠い未来の人類の文化を、詩や戯曲、歌、地図、習慣に関するレポートなどからなる独自の「民族学的資料」として発表した。
マグダ・シュペフトが演出するのは、ドラマトゥルク、俳優、ダンサーに加え、振付家、作曲家、美術家、映像作家といった多彩なつくり手たちが集い、映像、音、振付などを交え探求する理想郷の姿だ。
日本とポーランドでのリサーチを経て深められた人類学的洞察は、どのような空間となって、私たちの前に立ち現れるのか。混迷をきわめる現代だからこそ、未来のユートピアを共有すべきなのか、はたまた共有できるのか、そのなりゆきすらも、観る者に関わってくる。
『オールウェイズ・カミング・ホーム』を深く理解するためのTIPS!
原案について
原案となったアーシュラ・K・ル=グウィン著 ‘Always Coming Home’ とは、2万年後の北カリフォルニア、工業文明の崩壊と地殻変動によって変わり果てたサンフランシスコ北方の丘陵地に、穏やかで慎ましい土着文化を営む人類の末裔ケシュたち の物語である。詩、小説、戯曲、歴史、説話、伝記のほか、衣食住、医療、祭礼、文字、音楽の解説など、あらゆる文学形態と民族学的手法を駆使したハイパーテクストにより、“無限の進歩”の対極にある世界を鮮やかに描き出す。日本語翻訳書籍は星川淳訳の『オールウェイズ・カミングホーム』(アーシュラ・K・ル=グウィン著/1997/平凡社)がある。(Google books参照)