アルカディウス--パウリナの民俗的な歓喜
ポーランド特有のファッションの成立に大きく影響を与えた現象は、少なくとも二つある。サルマティズムと民芸である。
2025年、京都国立近代美術館(MoMAK)で開催された展覧会「〈若きポーランド〉――色彩と魂の詩(うた)1890-1918」では、「若きポーランド(Młoda Polska)」と呼ばれる芸術運動に関連する表現が紹介された。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ロシア・オーストリア・プロイセンによって分割統治されていたポーランドでは、さまざまな形で「ポーランド性(ポーランドらしさ)」を語る芸術が発展した。
独立を喪失していたにもかかわらず、ポーランドのモダニズム芸術は驚くべき発展を遂げた。若きポーランドの芸術家たちは、アール・ヌーヴォー、象徴主義、印象主義、歴史主義、そして民芸といった様々な表現技法を用いた。とりわけ民芸的要素は、現代においてもファッションに強い影響を与え続けている。
若きポーランドの芸術家たちは、「真のポーランド性」をタトリ山脈に求めた。芸術の世界では、「ザコパネ様式」と呼ばれるスタイルが発展した。これは、京都の「若きポーランド」展でも紹介された著名な芸術家であり理論家でもあるスタニスワフ・ヴィトキェヴィチ(Stanisław Witkiewicz)によって提唱された概念である。このスタイルの名称は、芸術家たちに人気のあったタトリ地方の保養地・ザコパネに由来している。ザコパネ様式は、グラル人(高地人)の民芸に着想を得たもので、建築や工芸だけでなく、ファッションにも展開された、いわば「国民的スタイル」であった。MoMAKでは、1900年に制作されたクラクフ国立美術館のマリア・ワベンツカ(Maria Łabęcka)によるザコパネ風ドレスが展示された。このドレスは、高地人の手芸を現代的に解釈したものである。
若きポーランドの時代には、ポーランドの民芸で飾られた服によって西ヨーロッパを魅了したいという夢が生まれた。フェリクス・「マンガ」・ヤシェンスキ(Feliks “Manggha” Jasieński)はその実現を呼びかけた人物であり、日本美術の愛好家・蒐集家としても知られている。彼は1902年に発表した「ポーランドのドレスについて(O sukni polskiej)」(『イルストラツィヤ・ポルスカ(Ilustracyja Polska)』第2巻第7号)という論文で、ウィーンやパリ風の服飾にポーランドのフォークロア的要素を加えるべきだと主張した。西欧の装いをポーランド的に「翻訳」することで、やがては独自のポーランド的なファッション様式を確立し、ヨーロッパの上流社会に登場させることを目指すべきだと説いたのである。この提言に応えるかたちで、当時ワルシャワの老舗ファッションハウスを経営していたボグスワフ・ヘルセ(Bogusław Herse)が動き出し、後には社会主義時代のポーランドにおけるほぼすべてのファッション企業がその流れを引き継ぐこととなった。
ウッチ繊維博物館のコレクションには、アルカディウス(Arkadius)の14コレクションにおよぶ衣服とアクセサリーが収蔵されている。ブランド創設者アルカディウシュ・ヴェレムチュク(Arkadiusz Weremczuk)はポーランド南東部に生まれたが、21世紀初頭にはロンドン・ファッション・ウィークの最も輝かしいスターの一人となった。2001年には、イギリスの日刊紙『インディペンデント』が彼をアレキサンダー・マックイーン、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ステラ・マッカートニーと並ぶ、10人のトップファッションデザイナーの一人に選出した。
その数ヶ月前、ロンドンとニューヨークのファッションメディアから称賛を浴びた彼は「パウリナ(Paulina)」というコレクションを発表した。この作品はアルカディウスの祖母パウリナに捧げられたオマージュである。パウリナは農家を営み、ポーランドの田舎に暮らしていた。ポーランドの自然と農村文化に魅了されたセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)卒のデザイナーは、藁で作られたクリノリンやコルセットに、ポーランド山岳地帯の職人が彫った色とりどりの木製の小鳥を乗せたデザインを発表した。衣服には「レルヤ(leluja)」という民俗装飾が施されており、雄鶏に囲まれた生命の樹がモチーフとなった。カルパチア地方の伝統的なレースも使用された。スタイリングは官能的で、しばしば肌を露出させていた。アルカディウスはこうした奔放でエロチックな表現を通じて、夏至の夜に祝われるスラヴの異教が起源の祭「クパラの夜(Noc Kupały)」を参照した。この夜には、歌、踊り、奔放な宴が催されたとされ、伝説によれば魔女たちの集会(サバト)も開かれていたという。
ポーランドの田舎に対するアルカディア的なヴィジョンは、第一線のファッション批評家たちを魅了した。「この印象的なショーは、想像力をかき立てるイメージとテキスタイルに満ちていた。民族的な三つ編み、様式化された恋する小鳥たち、型押しレザーベルト、パイル地のタオル、さらには手織りレースのテーブルクロスまで登場した。……エクストラバガントなフォルムを保ちつつ、アルカディウスは祖母への敬意を表した」と、スージー・メンケス(Suzy Menkes)は『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』(2000年9月26日号)で報じている。