ポーランドが誇る、ダンプリングの世界
丸型や楕円型、もちっと白いものの隣に、くすんだ灰色を帯びたもの。具は入っていたりなかったり。塩味派と甘党、それぞれ満足の味が勢揃い。世界中に愛好者がいる「ピエロギ(pierogi)」で知られるポーランドだが、ピエロギ以外にも、全国に驚くほどたくさんの種類の「クルスキ(kluski)」、つまり団子、ダンプリング(dumpling)がある。
小麦粉、チーズ、ジャガイモがベースのもの、具なしのシンプルなものがある一方、中にしっかり肉、レンズ豆やチーズが詰められていることも。炒めた玉ねぎを添えたり、さっと溶かしバターをかけてもよい。揺るぎない炭水化物の重みにほっとする、古き良き家庭料理、ポーランドが誇るクルスキの、素晴らしい世界へようこそ!
コピトカ
コピトカ。写真: iStockphoto / Getty Images
コピトカ(kopytka)は「小さなひづめ」の意味で、イタリアのニョッキのいとこのような料理。ゆでてつぶしたジャガイモに少量の小麦粉を加えて生地を作り、棒状にして、ダイヤモンド型になるよう端から切る。これを茹でるのだが、時には焼いて外側をカリッとさせることもある。ただバターをからめてもよいし、さまざまなソースをかけて食べることもある。最も好まれているのは、野生キノコのソースや、肉入りのグラーシュ。
シロンスク風クルスキ
シロンスク風クルスキ(kluski śląskie)には、「白い」(ゆででつぶしたジャガイモから作られる)ものと「灰色」(生のジャガイモのすりおろしから作られる)のものがある。小麦粉の代わりにジャガイモのでん粉が用いられるため、このダンプリングは特に「もちっとした」食感で、グルテンフリーでもある。中央部に小さなくぼみがあるので、ソースがよくからまる。シロンスク地方の伝統的な昼食(オビャト obiad)に欠かせない料理。
「怠け者の」ピエロギ
ピズィ。写真:Dariusz Dzinnik / Getty Images
ピエロギ・レニヴェ(pierogi leniwe)つまり「怠け者の」ピエロギは、実はピエロギとはあまり関係がない。具は詰められておらず、主な材料は、ポーランド語でトファルク(twaróg)と呼ばれる農家風の白チーズ(カッテージチーズ)。これに卵と少量の小麦粉が加わる。名前から想像できるように、ピエロギよりずっと早く、簡単に作ることが可能だ。ほんのり甘い出来立てを、バターで炒めたパン粉と一緒に召し上がれ。子どもたちお気に入りの料理で、ポーランドの「デザートをメインコースに」というアイディアを体現する好例の一つ。
カルタチェ(ツェペリヌィ)
この大きな楕円形のダンプリングは、リトアニアとポーランド北東部の郷土料理。「カルタチェ(kartacze)」は弾丸という意味で、ドイツの飛行船ツェッペリン(Zeppelin)に形が似ていることから「ツェペリヌィ(cepeliny)」とも呼ばれる。生ジャガイモで作られる生地はやわらかい。中に入れる具はカッテージチーズか、黒胡椒とニンニクをしっかり効かせた肉だ。
ピズィ
ルジツキ・バザール。写真:Włodzimierz Wasyluk / Forum
ワルシャワっ子は「ピズィ(pyzy)」と聞くと、プラガ地区にあるルジツキ市場(Bazar Różyckiego)の賑やかな様子を連想する。ジャガイモをベースにしたこのダンプリング(生のジャガイモとゆでたジャガイモの割合が2対1)には、具なしと肉入りがそれぞれある。たいてい、炒めた玉ねぎやスクファルキ(skwarki)〔豚の脂身の塩漬け、またはベーコンや頬肉等を細切れにした上で炒めて脂を出し、カリカリにしたもの〕を添えて食べる。単純に聞こえるが、その昔はガラス瓶に入れ、毛布か新聞紙に包んで温かくしておいたものが売られ、市場の喧騒の真っ只中で立ち食いするのが魅力だった。現在はルジツキ市場の入り口すぐそばの店で、昔ながらのピズィと現代版ピズィ(ケール・ペーストで和えもの、ほうれん草とブルーチーズソースをかけたもの)の両方を味わうことができる。
執筆:Culture.pl、2022年12月11日、最終改訂:2023年12月18日
日本語訳:柴田恭子(Yasuko Shibata)、2025年8月