社会主義時代に入ると、歴史的、経済的に苦しい状況が続く中、人々は安価な粉物でレグミナを作ることで、苦境を乗り越えたのだろう。そういった歴史的背景もあって、以前はデザートとして親しまれていたレグミナが、今日ではディナーのメインディッシュとして食卓を彩っている。
食事は1日4〜5回!日本とポーランドの食文化の違い
甘いディナーを紹介していく上でまず説明しなければならないのが、日本とポーランドの食文化の違いについてだ。一口に「ディナー」と言っても、私たち日本人が思い浮かべる「ディナー」とはだいぶイメージが異なる。
ポーランドでは、1日の食事は4〜5回が一般的。一日のメインとなる食事はオビヤド(obiad)と呼ばれ、夜ではなく昼に食べる。食事の回数が多い分、オビヤドのあとは、ごく軽い食事で済ませることも特徴のひとつ。夕食といっても、外食をしない限り、サラダとサンドウィッチなど、軽い食事で済ませることがほとんどだという。
一日の食事スケジュール
7時〜8時頃 1回目の朝食(śniadanie)
10時頃 2回目の朝食(drugie śniadanie)
12時〜14時頃 オビヤド(obiad)
16時〜17時頃 軽食(podwieczorek)
19時〜20時頃 夕食(kolacja)
甘いディナーと聞くと少し身構えてしまうかもしれないが、ここでいう「ディナー」とは昼ごはん(オビヤド)のこと。夜に甘い料理を食べるにしても、こうした生活スタイルを知っていれば、軽食感覚で夕食を楽しむ食文化として納得できるはず。
マカロニの白チーズと砂糖和え(Makaron z twarogiem i cukrem)
1945年以降、マカロニにトファログ(twaróg)と呼ばれるフレッシュ白チーズと砂糖を和えた料理が学校の食堂などで広く食べられるようになり、当時肉を手に入れるのが困難だった一般家庭でも、手頃な食材で作れるメニューとして親しまれるようになっていった。幼い子どもたちにとっては、この組み合わせが何よりのご馳走だったのだ。
いまでこそチーズと砂糖というシンプルな材料で作られているが、戦前のレシピでは、ここにオレンジピールやレモンピール、レーズンやナッツが加わる。これをオーブンで焼き、クリームなどを添えて、デザートとして食べていたそうだ。
甘いマカロニが最初に登場したのは、20世紀初頭に刊行されたアントニ・テスラル(Antoni Tesslar)の著書、『Kuchnia polsko-francuska(ポーランド・フランス料理) 』の中の一ページ。テスラルは当時、クラクフ近郊のガリツィア(Galicja)地方知事代行、ポトツキ(Potocki)伯爵のお抱えシェフとして有名だった人物で、彼のオリジナルレシピでは、マカロニ生地とプラムジャムを何層にも重ねて焼いた、子供向けのデザートとして紹介されている。
ワルシャワの有名なバル、プラソヴィ(Bar Prasowy)を訪れた外国人客は、この甘いマカロニについてこうコメントしてくれた。
「マカロニは本来、ジャムやクリームではなく、トマトソースやバジルペーストと食べるものです。最初は本当に驚きました。もしイタリア人が見たら、怒って帰ってしまうかもしれません。はじめは抵抗がありましたが、本当に美味しいです。」
甘いマカロニは、外国人にとっては一見受け入れにくいものの、一度食べてしまえば、その美味しさに思わず納得してしまう一品だ。
甘口ナレシニキ(Naleśniki na słodko)