シミグス・ディングス:ポーランドの「水かけ月曜日」
みなさん、ポーランドではイースターマンデーにご注意を。おかしなアドバイスに聞こえるかもしれませんが、どうかお忘れなく。そうでないと…びしょ濡れになってしまいます!シミグス・ディングスの伝統は今もポーランドに根強く残っている。
水かけ月曜日
「シミグス・ディングス(Śmigus-Dyngus)」この不思議な響きの慣習は、ポーランドのイースターマンデーの伝統で、別名「ラヌィ・ポニェジャウェク(lany poniedziałek)(*水かけ月曜日の意味)」とも言う。端的に言うと、人々が大量の水をお互いにかけ合うのだ。一体なぜそんなことを?
この伝統はおそらく14世紀に遡るが、春分・春の到来と関連したキリスト教以前の慣習に起源を持つとも言われる。水は生命と復活の象徴である。同様の伝統は中東欧すべての地域で見られ、ウクライナのПоливаний понеділок(水かけ月曜日)、チェコのOblévačka、スロヴァキアのOblievačka、ハンガリーのVízbevető等が相当する。またポーランド外のポーランド・コミュニティでは「Dyngus Day(ディングス・デイ)」としても知られる。
シミグス・ディングスの正確な起源はまだ解明されていない。しかし、昔イースターの月曜日に、田舎の男の子たちは女の子たちに水をかけ、猫柳の枝で叩くことが許されていたという話がよく知られる。ひどい話に聞こえるけれど、これは愛情表現の一つであり、後に結婚に至ることも少なくなかった。
シミグスなのかディングスなのか

撮影:マリアン・ズブジツキ / Forum
調査によれば、シミグスとディングスはもともと別の慣習だった。だがそれがどのようなもので、正確にどこから来たのかについては様々な説がある。一般的には、シミグスは、人の足を棕櫚の葉や柳で(形式的に)叩き、冷水で濡らす習慣だったと考えられている。汚れや病気そして罪を浄化する意味があった。
一方ディングスは、装飾を施した卵を「水かけ人」に贈ることで、二度目の水かけから身を守ろうとする行為だったという。別の説では、古代スラブ人の移動の習慣に関連しているとされる。人々は食料を分け合い、共に楽しむため親戚や友人らを訪ねて歩いた。少年たちの行列が村を練り歩き、一軒一軒回り、詩を朗読したり、贈り物を要求したりした。
他には、シミグスは柳を打つ時間のことで、ディングスは水をかける時間のことだという説もある。また「ポーランドの洗礼」と関係があると考える人もいる。つまりポーランド国家最初の統治者となったミェシュコ一世(Mieszko I)その人の洗礼(宮廷の多くの人も同時に洗礼を受けた)と関係しているという。
現在ポーランドの復活祭では、シミグス・ディングスは当然のように行われている。面白いことに、ポーランドでこの慣習について最初に言及があるのは1420年、ポズナンの大司教が「Dingus Prohibetur(ディングス禁止令)」という勅令を出した時で、人々にシミグス・ディングスへの参加によって犯される罪深い行為について警告している。
水かけ合戦!

撮影:マルチン・ズブジツキ(Marian Zubrzycki) / Forum
今日ではハイブリッドな「シミグス・ディングス」として、かつて比較的無害だった一連の儀式は、全国的な本格水かけ合戦へと姿を変えた。もはや若い男の子や女の子だけでなく、誰もが巻き込まれる可能性がある。ただの通りすがりなのに頭の先から足の先までびしょ濡れになるかもしれない。シミグス・ディングスにルールはない。水鉄砲、水筒、上からの水風船など、水はどこから来るかわからない。場合によっては消防車までもが参戦する。
だから、選択肢は二つ。レインコートと傘を用意するか、頑丈な水鉄砲で武装するか。ハッピーイースター!
執筆:Gabriel Stille(ガブリエル・スティレ),2013年;更新:NR,2018年3月
日本語訳:秋山由衣、パヴェウ・パフチャレク(Paweł Pachciarek)2020年4月