マルタ・ビエンナーレ――テレビクイズ番組への郷愁
マルタで現代アート・ビエンナーレの歴史が始まったのは2年前のこと。2024年に「白海のオリーヴ畑」のスローガンのもと、初のビエンナーレが開催された。ポーランド館では、アーティストたちによる現代的な解釈で、聖書の洗礼者ヨハネとサロメのモチーフが展示された。一方、テーマ展示の一つ、「地中海の母なるアーカイヴ」では、ヴィオレッタ・クレフスカ・アキイェル(Wioletta Kulewska Akyel)のインスタレーション、《Grotta(洞窟)》が発表された。赤と茶のあたたかい色味の天然キャンヴァス地で作られたテントで、顔料とグワッシュで描かれた、女性の身体性と生殖能力に言及するモチーフで満たされた。
ポーランドのアーティストたちは今年もマルタにやってきた。第2回マルタ・ビエンナーレ(2026年3月11日~5月29日)では、ポーランド館は、ビェルスコ・ビャワ市BWAギャラリー、在ヴァレッタポーランド共和国大使館と、2026年ポーランド文化首都であるビェルスコ・ビャワ市の協力のもと、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートが企画・実施を担当。アーティストのヴェロニカ・ザレフスカ(Weronika Zalewska)とキュレーターのアダ・ピェカルスカ(Ada Piekarska)がビデオプロジェクト《Archiwum wahań(ためらいのアーカイヴ)》を制作した。ポーランドの体制転換をテーマにした2本の映画作品で、記憶と知識を形作るメカニズムへの考察を促すものだった。
1本目の映画はテレビのクイズ番組の録画を元にした作品で、1990年代の娯楽番組への郷愁を誘った。ザレフスカは、子どもの時に祖母と一緒にテレビを見ていたという、彼女自身の記憶、また同時に普遍的でもある記憶に導かれ、この形式を選んだ。クイズの参加者は、若い起業家、小さな町の図書館員、労働者など、特定の社会集団のイメージを体現する、典型的な人々である。彼らが司会者の質問に答え、数十年前のポーランド人たちが、大きく変わりつつある現実について何を感じ、どう考えていたかを垣間見せてくれる。このクイズ番組を通して、二人のアーティストは、娯楽テレビに典型的な一般化と誇張のメカニズムに注意を向けている。
2本目の映画は夢心地のイメージから構成されている。ありふれた仕草、共同作業・生活の瞬間、食事、自然や大地の光景が、抽象的なノイズ感のあるアニメーションで強調される。テレビのクイズ番組とまったく異なるこの形式は、静寂と考察を促し、そこで作り出される空間では、答えを瞬時に求められることはない。テレビの娯楽番組とは別の原理で機能する映像作品である。
アーティストたちは《Archiwum wahań》において、現代における知識伝達の形態は、間違いなく私たちの世界に対する認識を形づくる一方で、これによって人間の経験の複雑さをとらえることが不可能なことを示している。
2026年マルタ・ビエンナーレでは、OmenaArt Foundationが企画したポーランドのテーマ館「Redefining. Polish-Ghanaian Textile Narratives(再定義――ポーランド・ガーナの織物の物語)」も開催され、最優秀パビリオンに選ばれた。ナタリア・ブラッドバリー(Natalia Bradbury)がキュレーションを手がけたこの展示では、マルタ・ナドル(Marta Nadolle)、エリザ・プロシュチュク(Elia Proszczuk)とアーネスティナ・マンサ・ドク(Ernestina Mansa Doku)という3名の女性アーティストにより、ポーランド文化とガーナ文化を融合させた大型の織物インスタレーションが展示された。