マウェ・インストゥルメンティ(Małe Instrumenty)(ポーランド語で小さな楽器たち)は、プロの演奏家向けの小型楽器や、音の玩具、奇抜な音楽発明品、さらには音を出すあらゆる小さなものを用いて、音の探求を続けるアートグループである。
こうして生み出された音楽は、唯一無二の音の魅力を際立たせている。その音楽は、時に美しく緻密であり、また時には驚きや新たな発見をもたらす。一方、音そのものの不完全さをあらわにすることもあるが、その制約によって楽しませてくれる。
マウェ・インストゥルメンティ/ Culture.pl on Vimeo
マウェ・インストゥルメンティは、バヴェウ・ロマンチュク(Paweł Romanczuk)を中心に、2006年に結成された。結成後、マルチン・オズグ(Marcin Ozóg)、マチェイ・マルコフスキ(Maciej Markowski)、トマシュ・オルシュラク(Tomasz Orszulak)、イェンジェイ・クジェラ(Jędrzej Kuziela)、マチェイ・ボンチク(Maciej Bączyk)、マグダレナ・ネカンダ・トレプカ(Magdalena Nekanda-Trepka)、イヴォナ・シュトゥツカ(Iwona Sztucka)、マグダ・リプニェフスカ(Magda Lipniewska)、ピョトル・ウィシュキェヴィチ(Piotr Łyszkiewicz)が、次々とメンバーに加わった。
2007年のエラ・ノヴェ・ホリゾンティ映画祭(Era Nowe Horyzonty)において、彼らは完全編成でのデビューを果たした。この時から、数多くの音楽プロジェクトに参加してきた。
彼らはこれまでに、イェジ・アルマタ(Jerzy Armata)、アニメーション監督のマリウシュ・ヴィルチンスキ(Mariusz Wilczyński)やアレクサンデル・スロチンスキ(Alexander Sroczyński)、ポーランド・オーディオビジュアル出版(Polskie Wydawnictwo Audiowizualne)、ダンス・シアター「アルカ」(Teatr Tańca "Arka")、ギャラリー「エントロピア」(Galeria "Entropia")、ウヤズドフスキ城現代美術センター(Centrum Sztuki Współczesnej Zamek Ujazdowski)、オーディオ・アート・フェスティバル(Festiwal Audio Art)、音楽劇場「カピトル」(Teatr "Capitol")、子ども映画スタジオ(Dziecięca Wytwórnia Filmowa)、ジャン=マルク・ゼルヴェル(Jean-Marc Zelwer)、ポーランド人作曲家マレク・ホウォニェフスキ(Marek Chołoniewski)、俳優マチェイ・シュトゥル(Maciej Stuhr)、アニメーション監督モニカ・クチニェツカ(Monika Kuczyniecka)、クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団(Filharmonia Krakowska)、ポーランド文化・国家遺産省(Ministerstwo Kultury i Dziedzictwa Narodowego)、コペルニクス科学センター(Centrum Nauki Kopernik)、ポーランド国立文化センター(Narodowe Centrum Kultury)、ポーランドラジオ(Polskie Radio)、国立オーディオビジュアル研究所(Narodowy Instytut Audiowizualny)、クロスロードセンター(Ośrodek Rozdroża)、境界センター(Ośrodek Pogranicze)などのアーティストや文化機関と協力し、プロジェクトを行ってきた。またゲダリア・タザルテス、クシェンジツ(Księżyc)、ピョトル・クレク(Piotr Kurek)、マーガレット・レン・タン、Phonos Ek Mechanes、カペラ・ヤナ・ガツィ(kapela Jana Gacy)と共演してきた。
2008年にはヴロツワフで開催された第29回ステージ・ソング・レビュー(Przegląd Piosenki Aktorskiej)で音楽劇《音の発電所(Elektrownia Dźwięku)》で、Off部門グランプリを獲得した。2009年にはピエール・バスティアンとエラ・ノヴェ・ホリゾンティ映画祭で共演し、翌年の秋には、バスティアンと共にイギリスツアーを開催した。2010年にはさらに、ポズナンで開催されたアニメーション映画祭アニマトル(Animator)に参加し、ジョルジュ・メリエスの無声映画に合わせて演奏を行った。またルブリンで開催されたコード(Kody)音楽祭では、プロジェクト『ポーランドの数え歌(Wyliczanki polskie)』(ポーランドの数え歌に合わせて制作された楽曲のコンサート)のプレミアが行われた。
マウェ・インストゥルメンティ、写真:Peter Beym / アーティスト提供
2009年の11月に、デビューアルバム『アントニシュ(Antonisz) 』を発表。多くの人を惹きつけてやまないポーランドのアニメーション監督、ユリアン・ユゼフ・アントニシュ(Julian Józef Antonisz)が1967年から1987年にかけて制作した映画作品から11曲が、マウェ・インストゥルメンティの新たな解釈により収録されている。さらに同年、ヴォイチェフ・ヴィドワク(Wojciech Widłak)の物語『大きな帽子の小人たちの秘密の生活(Sekretne życie Krasnali w Wielkich Kapeluszach)』を元に制作され、ヤン・ペシェク(Jan Peszek)が朗読したオーディオブックに、サウンドトラックを提供した。その次の作品は、CD『マウェ・インストゥルメンティが奏でるショパン(Małe Instrumenty grają Chopina)』であった。書籍『トイピアノの現象(Fenomen Toy Piano)』と共に、2010年に発売された。
2012年には、限定99枚でシングル『私の8つの言葉(Moich 8 Słów)』が発売された。さらにフランスで『La Fabrique a Comptines(童謡工場)』を発表した。13曲のフランスの数え歌のインストゥルメンタルバージョンと、フランス人歌手Luceを迎えて制作された歌入りのバージョンが収録されている。さらにポーランドのレーベルOBUHから『化学と物理(Chemia i fizyka)』を発売した。マウェ・インストゥルメンティのディスコグラフィにおいて、特にユニークな作品は、『カタリンカ(Katarynka)― 19の楽章で構成される、63個のカタリンカ(手回しオルガン)と小さな楽器のためのkarantella non pasticcio』である。CDはカタリンカ〔実物は手のひらサイズのオルゴール〕の中に納められた状態で、付属の楽譜と共に発売された。
2013年の作品『手作り品(Samoróbka)』は、自分たちの手作りの楽器に捧げられた。ワークショップ形式の制作活動は2012年12月から2013年7月まで続き、結果として新たな楽器のコレクションを生み出した。『手作り品』にはCDのほかに、パヴェウ・ロマンチュクが執筆した、アトリエで作られた楽器についての書籍と、独自のユニークなサウンド構成の実験についての手引き書、さらに「小さな楽器」そのものも含まれていた。アルバムの背表紙の部分に、白い棒状の笛が取り付けられていたのである。
2013年にはさらに、『カルタチュ(Kartacz)』がBôłt Recordsから発売された。60-70年代の文化の影響を感じさせる、ポーランド映画界と、そして何よりも実験音楽とその発祥の地であるポーランドラジオ実験スタジオ(Studio Eksperymentalne Polskiego Radia)へ敬意を表した作品になっている。
『ヴァルツェ・ヴ・ヴァルツェ(Walce w walce)』(2015)にはパヴェウ・ロマンチュクと他の作曲家たち(ジャン=マルク・ゼルヴェルなど)が作曲した13曲のワルツが収められている。本作におけるマウェ・インストゥルメンティ定番のおまけは、円柱を薄く切り出したような、丸い金属製のCDケースだった。(ポーランド語walceはダンスのワルツ(walc)と円柱形(walec)の両方の複数形であるため、丸いケースが作品のパッケージとして選ばれた。)
次のアルバム『Gruppo di Construzione』(2017)に収録された音源は、公開ワークショップ「Samoróbka(手作り品)」中に、約20人の参加者によって行われた音の実験に基づいて制作された。本作の木製CDケースは、そのものが楽器になっている。
『タンゴ(Tango)』(2018)は、2014年から制作が行われ、マウェ・インストゥルメンティが、最も長い時間をかけて取り組んだプロジェクトである。作品が収録されたレコードは、伝統的なレコードプレーヤーで再生することはもちろん可能だが、ジャケット自体が段ボール製のプレーヤーとしても機能するものになっている。
マウェ・インストゥルメンティは、ポーランド国内外でコンサート活動を行っている。またコンサートやライブへの出演以外においても、映画、演劇、ラジオ音源への楽曲制作など精力的に活動を続けている。
参加フェスティバル
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エラ・ノヴェ・ホリゾンティ映画祭(Era Nowe Horyzonty)、ヴロツワフ(2007、 2008、 2009)
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Unsound Festival、クラクフ(2009)
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Ferlitizer Festival 、ロンドン(2009)
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コード(Kody)、ルブリン(2009、2010)
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ブルーノ・シュルツ・フェスティバル(Festiwal Brunona Schulza)、ドロホブィチ(2010)
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オーディオ・アート・フェスティバル、クラクフ(2009、2010)
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Skiff Festival、サンクトペテルブルク(2010)
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アニマトル(Animator)、 ポズナン(2010)
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Avant Art、クラクフ(2009、2010)
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Supersonic Festival、バーミンガム(2010)
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Unidram、ポツダム(2010)
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オープナー・フェスティバル(Opener)、グディニャ(2011)
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Festival d’ Île de France、パリ(2011)
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Fatif、ラプカ(Rabka)(2011)
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ナンシー・ジャズ・パルセージョンズ(Nancy Jazz Pulsations)、ナンシー(2011)
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新しい音楽の日(Dni Muzyki Nowej)、グダンスク(2012)
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ワルシャワの秋(Warszawska Jesień)、ワルシャワ(2012)
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コンフロンタツィエ演劇祭(Konfrontacje Teatralne)、ルブリン(2013)
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Off Festival、カトヴィツェ(2015)
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新しいユダヤ音楽フェスティバル(Festiwal Nowej Muzyki Żydowskiej)、ワルシャワ(2015)
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全州世界ソリ祭(Jeonju International Sori Festival)、大韓民国(2024)
執筆:アンナ・イヴァニツカ・ニヤコフスカ(Anna Iwanicka-Nijakowska)、2011年3月、最終改訂:2025年7月31日
翻訳: 岡田葵(Aoi Okada)、2025年9月