なかなか難しいでしょう。
でも、夏に開催する本展を訪れてみれば、間違いなく新しいパースペクティブを得られること間違いありません。
20世紀ポーランドの美術史・映像史は、多くの男性たちの名によって語られてきました。しかし、ベルリンの壁崩壊後いっきに東側に流れ込んできたグローバル経済の波に参画し、EU加盟も果たした21世紀のポーランドにおいて、女性たちによる多くの表現が、特に映像領域で存在感を放っています。
日本でも女性という立場で様々に発言や表現を試みる人たちが増えてきました。この流れは各国の同時代性を感じさせる大きな現象です。ポーランドの映像作品を通して、この大きな流れをとらえてみましょう!
Ⅰ.限られたアクセスのなかでーパイオニア世代の映像実験1970-80年代
東西冷戦下、鉄のカーテンの向こう側で、女性アーティストたちは、機材や技術へのアクセスがきわめた限られた環境下でありながらも、さまざまに映像表現を試みていました。
Ⅱ-1.転換期ークリティカル・アート潮流とともに 1990年代以降
民主化を果たしたポーランドの社会は、新たに再編されたヨーロッパの秩序のなかで、物質的な豊かさを得ていく一方で、格差の拡がりや価値観の変化を経験します。誰もが気づいていながら直視していない人間性の闇の部分にも果敢に迫った作品がたくさん生み出されました。
Ⅱ-2.過去と未来への視点 2010年代以降
社会主義政権下に幼少期を送り、民主化後に高等教育を受けた世代のアーティストたちの作品に焦点をあてます。一定の距離をもって過去を新たな視点で検証しつつ、映像表現としての豊かさに創意を傾けた作品がさまざまに生み出されています。
Ⅱ-3.新世代の感性と社会とのかかわり
民主化以降に生まれた若手世代の作品のなかでもフレッシュないくつかの作例を紹介します。アクセス可能なメディアを利用して自らの声を社会に届けようというポジティブな姿勢や、グローバルな経済システムの矛盾に対し、当事者の自覚をもってアクションを起こしていくといった、しなやかな批評性が特徴的です。日本の若者にも通じる新世代ならではの感性がみてとれます。
関連イベント
2019年8月15日(木) 18:00~19:30
ヨアンナ・ライコフスカ Joanna Rajkowska、カロル・ラヂシェフスキ Karol Radziszewski、ヤナ・ショスタク Jana Shostak(出品作家)
2019年8月18日(日) 13:30~16:30
登壇者:アンナ・クテラ Anna Kutera(出品作家)、マリカ・クジミチ(美術史家、アルトン財団代表)、アグニエシュカ・レイザヘル(lokal_30ディレクター)
2019年8月31日(土) 13:30~16:30
登壇者:加須屋明子(キュレーター、美術史家、京都市立芸術大学教授)
担当学芸員によるギャラリートーク
2019年8月16日(金) 14:00~
2019年8月30日(金) 18:00~
2019年9月6日(金) 14:00~
2019年9月20日(金) 14:00~
2019年10月4日(金) 14:00~
出品アーティスト
ナタリア・LL Natalia LL、バルバラ・コズウォフスカ Barbara Kozłowska、 エヴァ・パルトゥム Ewa Partum、イザベラ・グストフスカ Izabella Gustowska、ヨランタ・マルコラ Jolanta Marcolla、テレサ・ティシキェヴィチ Teresa Tyszkiewicz、 ヤドヴィガ・ジンゲル Jadwiga Singer、アンナ・クテラ Anna Kutera、イヴォナ・レムケ=コナルト Iwona Lemke-Konart、ズザンナ・ヤニン Zuzanna Janin、カタジナ・コズィラ Katarzyna Kozyra、ヨアンナ・ライコフスカ Joanna Rajkowska、 ユリタ・ヴイチク Julita Wójcik、アグニエシュカ・カリノフスカ Agnieszka Kalinowska、ボグナ・ブルスカ Bogna Burska 、カロリナ・ブレグワ Karolina Breguła、 アリツィア・ロガルスカ Alicja Rogalska、 カロル・ラヂシェフスキ Karol Radziszewski、アンナ・モルスカ Anna Molska、ホノラタ・マルティン Honorata Martin、アグニエシュカ・ポルスカ Agnieszka Polska、アンナ・ヨヒメク&ディアナ・レロネク Anna Jochymek & Diana Lelonek、ヤナ・ショスタク Jana Shostak、ヴェロニカ・ヴィソツカ Weronika Wysocka
本展の詳細はこちら
主催:東京都 東京都写真美術館、日本経済新聞社
特別協力:アダム・ミツキェヴィチ・インスティチュート
後援:ポーランド広報文化センター
協賛:凸版印刷株式会社
参考資料:東京都写真美術館 ウェブサイト
テキスト:YNA Associates
2019年7月25日