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Podsumowanie
Culture.pl 企画でポーランドのグラフィックアートをアジア各国に広く紹介するプロジェクトとして、日本では瀬戸内市立美術館にて11月7日に展覧会を開催しました。またインド、韓国、日本の3国で、2年間をかけて巡回する展覧会となります。
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キュレーターによる展示の解説:
ポーランドのグラフィック・デザインの評価は、ヨーロッパ、そして全世界で、いよいよ高くなっています。ポーランドのグラフィック・デザインと聞くと、広義に「ポーランドにおけるポーランド派」(1950年代半ばから1960年代後半まで)と呼ばれる、著名なポーランドのポスター芸術とその作家たち(ヘンリク・トマシェフスキ Henryk Tomaszewski、ロマン・チェシレヴィチ Roman Cieślewicz、ヤン・レニツァ Jan Lenica、ヴァルデマル・シフィェジ Waldemar Świerzy など)が連想されます――高評価の理由は、それだけではありません。今日、創作において独創的な解決を探求しつつある、若い世代や中間世代のデザイナーの仕事のなせる業なのです。
評価の向上は、ポーランドの芸術・文化分野の発展、特に新しい文化機関の誕生と既存機関の発展に起因すると考えることもできます。もう一つの重要な、そして急速な発展途上にある現象は、インディ系の出版です。最近数年間に、インディ系の出版社が丹念にデザインし、自ら制作した水準の高い書物が多数、発行されました。
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グラフィック・デザイナーとはどういう存在なのでしょうか?何が、彼/彼女たちの、現代社会における役割なのでしょうか?今日におけるデザイナーの役割をどう理解するかについては多くの見方がありますが、そのうち主流なのが二つあります。第一の見方によれば、グラフィック・デザインとは、特定の内容とターゲットとなる観客に適合したニュートラルで装飾性のない形式でメッセージを提供する問題解決の方法です。このプロセスにおけるデザイナーは、メッセージの効果的で明晰な伝達を確実なものにすべく、個人的な表現意欲は抑制すべきなのです。第二のアプローチは、デザインをやはり問題解決の道具として扱うことに変わりはありませんが、それを文化的な文脈に据え、その美学的機能に観る者の注意を集めようとするものです。デザイナーの個人的な芸術表現は、効果性を限定するというよりは、むしろ増大させる何かと考えられます。現在では、こうした後者のアプローチが、ヨーロッパで活躍するグラフィック・デザイナーの間で主流になっているようです――ポーランド出身者についても同様です。
「EYE ON POLAND ―― ポーランドの新しいグラフィック・デザイン」展にお目見えする作品は、主に最近四年間にポーランド人アーティストによってデザインされた数百冊の書籍とポスターから選ばれました。その大半は、文化機関、博物館、美術館、基金、画廊の依頼で作られました。期待値が高い、こうした文化機関のために仕事をすることは、デザイナーたちに、実験を試み、創意に富んだ表現方法を探る自由を与えます。「EYE ON POLAND」は、こうしたコラボレーションの成果を展示するものです――これこそが、新しい方向性を刻みつつある、質の高い最先端のデザインなのです。
展示の目的を成す理念は、それを観る人たちを、現在のポーランドグラフィック・デザイン・シーンの豊饒さに反映している、スタイル、アプローチ、デザイン戦略の幅広い領域への旅にお連れすることです。選び出された作品は主にポスター、書籍、展示カタログ、画集の装丁です。これらの多彩な形態は、それぞれ異なった機能を果たしていますが、いずれも優れたデザイナーの才能あればこそ、日用品から芸術的な発言へと変貌することが可能になったのです。私たちは、いくらグローバル化が進行しても、伝統、母国語、文化的アイデンティティは、現代のグラフィック言語に対して、少なからぬインパクトを与えるものと確信しています。ポーランドのグラフィック・デザインは、他のヨーロッパ諸国のそれと異なっているでしょうか? 私たちは、観覧されるお一人お一人が、ご自身で、この問いへの答えを発見するチャンスを持つべきだと考えています。この展示がそのきっかけになるならば……私たちはそれを切望しています。
マグダレナ・フランコフスカ&アルトゥル・フランコフスキ(キュレーター)
期間:11月7日(土)~11月23日(月)
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料:無料
会場:瀬戸内市立美術館3階 ギャラリーS
展示作品:ポーランドのグラフィックアート(ポスター、書籍、CD)
キュレーター:Magdalena Frankowska マグダレナ・フランコフスカ、Artur Frankowski アルトゥル・フランコフスキ
アーティスト:
Jakub de Barbaro ヤクプ・ド・バルバロ、Edgar Bąk エドガル・ボンク、Ada Bucholc アダ・ブホルツ、Maciej Buszewicz マチェイ・ブシェヴィチ、Robert Czajka ロベルト・チャイカ、Justyna Czerniakowska ユスティナ・チェルニャコフスカ、Przemek Dębowski プシェメク・ドンブロフスキ、Agata Dudek アガタ・ドゥデク、Marta Gawin マルタ・ガヴィン、Fontarte フォンタルテ、Ania Goszczyńska アニャ・ゴシュチンスカ、Full Metal Jacket フルメタル・ジャケット、Grupa Projektor グルパ・プロイェクトル、Małgorzata Gurowska マウゴジャタ・グロフスカ、Jakub Stępień (Hakobo) ハコボ(ヤクプ・ステンピェン)、Aleksandra Mizielińska & Daniel Mizieliński (Hipopotam studio) ヒポポタマス・スタジオ(アレクサンドラ・ミゼリンスカ、 ダニエル・ミゼリンスキ)、 Joanna Górska & Jerzy Skakun (Homework) ホームワーク(ヨアンナ・グルカ、イェジ・スカクン)、Jakub Jezierski ヤクブ・ヤジェルスキ、Michał Jońca ミハウ・ヨンツァ、Joanna Jurczak ヨアンア・ユルチャク、Michał Kaczyński ミハウ・カチンスキ、Ryszard Kajzer ルィシャルト・カイゼル、Grzegorz Laszuk グジェゴシュ・ラシュク、Lech Majewski レフ・マイェフスキ、Moonmadness ムーンマッドネス、Macio Moretti マルシオ・モレッティ、Ola Niepsuj オラ・ニェプスイ、 Magdalena Piwowar マグダレナ・ピヴォヴァル、Poważne Studio ポヴァジュネ・スタジオ、Jakub Sowiński クバ・ソヴィンスキ、Honza Zamojski ホンザ・ザモイスキ
主催:Culture.pl、ポーランド広報文化センター
共催:瀬戸内市立美術館