いよいよ5月に、過去最大規模となる新しい形の現代美術展『セレブレーション』が、国交樹立100周年を記念する本年の文化イベントに登場します。わずか数人の熱意から始まったこのプロジェクトは2年越しの尽力の成果でもあります。また、このプロジェクトは日本とポーランドの相互開催イベントです。この先何年も両国の展覧会を訪れた人々の記憶に残り、影響を与えることになるでしょう。ぜひ、京都、ポズナン、シチェチンの三都市で開催される展覧会を訪れてください。京都展のキュレーターは、加須屋明子(京都市立芸術大学教授)とパヴェウ・パフチャレクPaweł Pachciarek(大阪大学博士後期課程)。シチェチンではスタニスワフ・ルクシャStanisław Rukszaも加わります。またプログラムのアドバイザーを務めるのは建畠晢(京都芸術センター館長、多摩美術大学学長)です。
展覧会コンセプトの特色は、100周年記念事業のテーマ「一期一会」に基づき、ポーランドと日本から21組の作家(コレクティブを含む)が日本・ポーランド両国でレジデンスに参加し、新作を制作したことです。この大胆で、挑戦的なアイデアは、各作家が作品を通して3ヵ所で開催される展覧会に参加することによって、ひとつの物語が三章からなる物語を語ることになるという目論見でもあります。ですから、3ヶ所で開催される展覧会は、どれも部分的には独立したイベントですが、芸術活動や戦略の本質を捉え、キュレーターの思考の発展を理解するためには、3ヶ所すべての展覧会を訪れていただくことを、ぜひおすすめします。
また、実際に作家同士が「生きた対話」ができる環境を整えることも、『セレブレーション』プロジェクト全体の重要な目的の一つです。将来、全く新しい作品やアートプロジェクトを作り出す可能性が生まれたのではないでしょうか。地理的な距離やコミュニケーションの問題、そして最終的には創造的な観点の相違による制限があるのは確実ですが、プロジェクトに参加する作家同士は出会い、その結果として共同制作に成功しました。スタフ・シュムスキStach Szumskiと川田知志は共同でシリーズ作品を制作。ウカシュ・スロヴィエツŁukasz Surowiecと笹岡由梨子は共同でワークショップを準備、日本・ポーランド両国で実施します。このように、一番重要なことは、ポーランドから日本へ、あるいは日本からポーランドへ、作家がレジデンスに招待され参加することにより、創造的な「生きた対話」を交わし、互いに刺激を与え合うための基盤を築けたことなのです。
この野心的なプロジェクトは、多くの人々の積極的な参加と献身がなければ実現できませんでした。なかでも、京都市長にはこの展覧会のために特別なご配慮をいただき、象徴として重要な、ユネスコ世界遺産に登録されている二条城を展示会場としてご提供いただきました。かつて徳川家が築いたこの二条城にて『セレブレーション』展が公式に開幕します。作品は京都芸術センター、ロームシアター京都、また伝統的な京都の古民家である町家を復元したザ ターミナル キョウトで展示され、二条城では特別展示として期間限定で展示されます。
そのほか、展覧会だけでなく、アーティストとの交流会やレクチャー、日本・ポーランドの美大生が制作した短編アニメ映画の上映、西原尚とパヴェウ・ロマンチュクPaweł Romańczukによるコンサート、ロベルト・クシミロフスキRobert Kuśmirowski、谷中佑輔、hyslomによるパフォーマンス、またフベルト・コストキェヴィチHubert Kostkiewiczと空間現代によるコンサート等の関連イベントが予定されています。
会期:2019年5月18日 (土) - 2019年6月23日 (日) *会場によって休場日が異なります
日本での会場:
京都芸術センター
10:00~18:00 ※5/29、6/12は休業(ギャラリー北・南は20:00まで、無休)
ロームシアター京都
10:00~19:00 ※5/29、6/3、6/12は休業
ザ ターミナル キョウト
10:00~18:00 ※無休
特別展示|世界遺産・二条城
5月18日(土)~5月19日(日)8:45~17:00(入城は16:00まで)
ポーランドでの会場:
ポズナン(Poznań)
5月31日~6月15日
Poznań Art Week 2019(ポズナン・アート・ウィーク)
シチェチン(Szczecin)
6月13日~8月31日
TRAFO Center for Contemporary Art
住所:ul. Świętego Ducha 4, 70-205 Szczecin, Poland
MONO NO AWARE
出展作家:
カロリナ・ブレグワ(Karolina Breguła)、アグニェシュカ・ブジェジャンスカ(Agnieszka Brzeżańska)、ピョトル・ブヤク(Piotr Bujak)、コンタクト・ゴンゾ(contact Gonzo)、東影智裕(Tomohiro Higashikage)、ヒスロム(hyslom)、今村遼佑(Ryosuke Imamura)、石橋義正+安藤英由樹(Yoshimasa Ishibashi+Hideyuki Ando)、川田知志(Satoshi Kawata)、小泉明郎(Meiro Koizumi)、ダニエル・コニウシュ(Daniel Koniusz)、ロベルト・クシミロフスキ(Robert Kuśmirowski)、マリア・ロボダ(Maria Loboda)、松田壯統(Masanori Matsuda)、岡本光博(OKAMOTO Mitsuhiro)、アリツィア・ロガルスカ(Alicja Rogalska)、笹岡由梨子(Yuriko Sasaoka)、ウカシュ・スロヴィエツ(Łukasz Surowiec)、スタフ・シュムスキ(Stachu Szumski)、谷中佑輔(Yuske Taninaka)、山本麻紀子(Makiko Yamamoto)
会場:
京都芸術センター (京都市中京区山伏山町 室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2)
ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13番地)
ザ ターミナル キョウト(京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町424番地)
世界遺産・二条城 (京都市中京区二条城町541)
イベント協力:ポーランド広報文化センター
イベント協賛:メロディー・ツアー
執筆、日本語翻訳:YA、2019.04