この『The Day Before』の成功によりアンナ・オルウォフスカは世界中のギャラリーに招待され、フェスティヴァルに参加した。またreGeneration2 Tomorrow’s Photographers Today(2010)の出品作家に選ばれた。この展覧会はアルル、トロント、ニューヨークを始め世界各地を巡回し、カタログが刊行された。
Leakage(漏洩)

アンナ・オルウォフスカ,『Leakage』シリーズ,写真は作者の厚意による
グジェゴシュ・プシボレクGrzegorz Przyborek教授は『Leakage』シリーズに寄せてこう書いている。
「私たちは奇妙な逆説に直面する。現実の忠実な複製あるいは文明の産物が、イメージつまり一種の幻影と混じり合うのだ。このようにして神話が生まれる。アンナ・オルウォフスカの作品の中で、まさにその写真の力によって、この物語は真実味を帯びる。」
オルウォフスカは演出写真と記録写真を融合した。『Leakage』では美と嫌悪、平静と緊張など正反対のものが組み合わされている。スウェーデン人監督ロイ・アンダーソンRoy Anderssonの映画の影響が見られ、意味や不思議な物語、様々な世界が思いがけない方法で結び付けられている。
『Leakage』に取り組む中で、オルウォフスカは制作手法を変えた。
「女の子が地図を黒く塗りつぶしている写真を撮った。でも写真を見た人が、地図ではなくて主人公に気を取られるのが不満だった。それで人物を排除して、物だけを置くことにした。」
ワルシャワのLookoutギャラリーで開催された『Leakage』展ではこの変化の兆しが見られ、批評家のリディア・パンクフLidia Pańkówが着目している。
「熟考の対象である自然が、ここではその深みや演劇的構造を失っている。自然は、視覚的記録の可能性を探る研究、感傷を排した調査の対象となっている。」
これとほぼ同時期に、オルウォフスカは写真集『My Bones Will Knit in 30 Days(私の骨は30日でくっつく)』を150部限定で出版している。この本の語りの方法は『Leakage』と似ており、一部同じ作品も使われている。物語はさらに個人的となり、細部を扱うことが多く、全体が期待に満ちている。
Case Study: Invisibility(不可視性:事例研究)

Case Study: Invisibility展,Atelier Josefa Sudkaギャラリー(プラハ),写真は作者の厚意による
『Leakage』で予告された新しい手法は、次の連作ではっきりと現れた。『Invisibility』では見ることの可能性がテーマになっており、カモフラージュ技術への関心が見られる。作品の手法についてオルウォフスカはインタビューでこう答えている。
「『不可視性Invisibility』という言葉の周りにアイデアを集めていく作業は、棒に綿菓子を巻き付けていくのに似ていた。棒に引っかかるものなら何でも集めた。噂話、逸話、聞いたり読んだりした情報。写真家として、見えないものをどうやって写真に撮るかと考えていたことが、この作品に取り組むきっかけとなった。」