ワルシャワ料理
ワルシャワを訪れたら、地元の料理を試さない手はない。舌鼓を打つようなワルシャワ風ピズィ [pyzy](じゃがいものゆで団子)、繊細な味のツィナデルキ [cynaderki](動物の腎臓を使った料理)、風味豊かなフラチュキ [flaczki](牛のモツ煮込みスープ。「フラキ」ともよばれる)。これらは、ヴィエスワフ・ヴィエルニツキ [Wiesław Wiernicki] 著「これぞ居酒屋![To były knajpy!] 」でも取り上げられた人気の料理だ。こうした料理を本当に美味しく食べられる店はそう多くはないものの、どれも手間をかけて探す価値のあるものばかり。
イチ押しはプラガ [Praga] 地区、ルジツキ市場(バザル・ルジツキェゴ [Bazar Różyckiego] )のすぐ側にある店「ピズィ・フラキ・ゴロンツェ [Pyzy Flaki Gorące](熱々のピズィとフラキ)」。美味しい上に値段もお手頃で、屋台のようなカジュアルなスタイルで地元料理を楽しめる。料理が瓶に入った特徴的な盛り付けは、かつて市場で売られていた形を参考にしているという。
プラガ地区は一部治安が悪いという話もあるが、実際に行ってみると、中心街に比べて人が少ないだけで、そこまでの治安の悪さは感じない。ワルシャワの有名な料理評論家、マチェイ・ノヴァク [Maciej Nowak] は、この店について「ワルシャワ観光で絶対に外せない食事処」と評し、「本当は親しい友人たちだけと行く秘密の場所にしておきたかったけれど、仕事として引き受けた案件で『美味しい料理に飢えてる人たちにワルシャワで一番のレストランを紹介してくれ』なんて言われたら、紹介しないわけにはいかないよね。」とコメントした。ピズィ・フラキ・ゴロンツェのフラキには、伝説的な料理本の著者、ルチナ・チフェルチャキェヴィチョヴァ [Lucyna Ćwierczakiewiczowa] が勧めているように、プルペト [pulpet](肉や魚の団子)とおろしたチーズが添えられている。ピズィ[pyzy]、コピトカ [kopytka]、プシェチェラキ [przecieraki]、クルスキ・シロンスキェ [kluski śląskie] といった様々な種類のクルスキ [kluski](ジャガイモや小麦粉でできたゆで団子)はすべて手作りで、刻んだベーコンやソーセージをたっぷり合わせていただく。お腹に余裕があれば、ラズベリーとプラムを添えたレバーもぜひ試してほしい。驚きなのは、これがどれもたったの12ズウォティだということ。日本で同じものを食べようと思えば、どんなに安くても千円はかかるだろう。
チャルニャコフスカ通り [ul. Czerniakowska](チャルニャクフ [Czerniaków] 地区)にある「ミストゥシュ・イ・マウゴジャトカ [Mistrz i Małgorzatka](巨匠とマルガリータちゃん)」は、40年以上にわたって地元の人々に親しまれてきた店だ。ただ一つだけ、主に男性が食事をする場所だということは頭に入れておきたい。レディ・ファーストの文化が浸透しているポーランドでも、ここだけはジェントルマン・ファーストなのだとか。マチェイ・ノヴァクによれば、チャルニャ地区は、過去から現在に至るまで、ワルシャワの外食産業で重要な役割を果たしてきた。第二次世界大戦前、ここは呑み屋が立ち並ぶ夜の街で、ワルシャワの中心街で夜通し続くクラブ遊びに飽きた上流階級の人々が「ならず者が集まる場末の酒場の雰囲気を味わえる」と足を運ぶ最終地点だったと言われている。
ミストゥシュ・イ・マウゴジャトカでは、ロスゥ [rosół](チキンスープ。自家製パスタとあわせる)、バルシチ [barszcz](ビートのスープ)、コトレト・スハボヴィ [kotlet schabowy](カツレツ)、コトレト・ミェロヌィ [kotlet mielony](ハンバーグ)といったポーランドの伝統的な昼食に加えて、モツ料理のメニューも充実している。10ズウォティもあれば、仔牛のドゥトキ [dudki cielęce](肺入りの白バルシチ)が堪能できてしまうし、ツィナデルキ [cynaderki](腎臓)のソースがけ、豚タンのピクルス [peklowane ozorki wieprzowe]、フラキや砂嚢など、各種珍味が揃い踏みだ。昨今の食生活の変化の影響を受けながらも、依然としてモツ料理の文化は絶えることなく続いている。
40年前のワルシャワの雰囲気を味わいたいけれど、プラガ地区やチェルニャクフ地区まで出向く時間がないという人に紹介したいのが、半世紀の歴史を持つ伝説的なレストラン「ロトス [Lotos] 」。ベルヴェデルスカ通り [ul. Belwederska] とヘウムスカ通り [ul. Chełmska] の交差点に位置する(王の道 [Trakt Królewski] と呼ばれる通りに面した)この店では、17ズウォティでランチセットが食べられる。二部屋で構成された店内は、1970年代のノスタルジックな雰囲気を感じさせる内装で統一され、ポーランド人ならニシンやチキンスープ、カツレツなどの昔懐かしい料理をたのみたくなってしまうような独特の空気が漂っている。地元ではお酒とつまみを楽しむ夜の店として親しまれているが、ここではランチがおすすめの店としても紹介したい。
ヤナ・パヴワII通り [al. Jana Pawła II] にある「ヤシ・イ・マウゴシャ [Jaś i Małgosia](ヘンゼルとグレーテル)」は、1970年代初頭、最も有名なカフェとして名を馳せた店のひとつ。全面的なインテリア改修を経て、2014年にリニューアルオープンした。食事と同時に文化的な催しも楽しめるのが特徴で、定期的にイベントが行われる場所としても有名だ。メニューは、有名シェフのアレクサンデル・バロン [Aleksander Baron] と共同で開発。昔ながらの料理(ピクルスのスープ [zupa ogórkowa] や牛肉の煮込み [bitki wołowe] など、共産主義下にあった70年代のポーランドを彷彿とさせるようなもの)と現代的な料理(マッシュルームのクリームスープとタラのレモンソース・コリアンダー添えなど)を両立させた充実のラインナップで、どれも家庭的な味に仕上がっている。店内は明るい雰囲気で、居心地の良さは抜群。スープとメインディッシュがセットになったボリュームたっぷりのランチはたったの20ズウォティだ。
菜食料理
「金曜日には肉を食べない」というカトリックの習慣が浸透しているポーランドでは、菜食料理が充実している。
ソリダルノシチ通り [al. Solidarności] にある「ヴェゲ・ミアスト [Wege Miasto] 」は、菜食やグルテンフリーの食事を好む人におすすめしたい店のひとつ。美味しいだけは終わらない、興味深い料理が楽しめる場所だ。ボリュームのあるランチメニューは25ズウォティほどで、菜食料理ながら、味の組み合わせ方は独創的で絶妙。ワルシャワで一番のベジタリアン料理店という評価も頷ける。
クルチャ通り [ul. Krucza] の「ローカル・ヴィーガン・ビストロ [Lokal Vegan Bistro] 」は、協同組合マルギネス [Spółdzielnia Socjalna Margines] によって運営されている。ヴィーガン料理を主軸にしたこの店では、肉を使わないカツレツやチキンスープに加え、グルテンフリーの料理も食べられる。ヴィーガン・リゾット、付け合わせの野菜とザワークラウトを添えたそばの実のカツレツは、どちらも約20ズウォティ。
ポズナンスカ通り [ul. Poznańska] にある「テルアビブ・フード&ワイン [Tel Aviv Food & Wine] 」は、数年前に開店したばかり。テルアビブの街とイスラエルの屋台料理に惚れ込んだオーナーが立ち上げた店で、店内はこの街の写真でいっぱいだ。「健康的で持続的な生活」がこの店のモットーということもあり、肉、グルテン、砂糖を含まないメニューの数々が取り揃えられている。高級路線のレストランではあるが、昼食時には24,9ズウォティの二品ランチも用意されているので安心してほしい。
ワルシャワに4店舗ある「マンゴー・ヴィーガン・ストリートフード [Mango Vegan Street Food] 」は、ヴィーガン料理の店としては比較的リーズナブルなレストラン。ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)、ハンバーガー、フムス、ベルギーフライドポテトなどが楽しめる。もしヴィーガン・ハンバーガーが食べたくなったら、ぜひ「クロヴァジヴァ [Krowarzywa] 」へ。肉の代わりに野菜と穀物を使い、マヨネーズやチーズもヴィーガンの素材で代用している。
大衆食堂「ミルク・バー」
お手頃なレストランといえば、「ミルク・バー(現地の言葉でバル・ムレチュニィ [bar mleczny] )」は外せない。これは個々の店名ではなく、「カフェ」や「バー」といったカテゴリーの総称にあたる。名前に気を取られて敬遠していると、損をしてしまう名店揃いだ。
「ミルク」という言葉が使われているものの、メニューのほとんどは、ごく一般的な郷土料理。ミルク・バーが生まれた当初は、乳製品を使った料理が多かったため、今もその名残でこの名前が使われている。ワルシャワをはじめとした各地にこうした店があり、スープやピエロギ、パンケーキ、オムレツは、どこの店でも大抵メニューに並ぶ定番料理だ。特徴は、なんといってもその価格。10ズウォティもあれば、驚くほどボリュームのある料理が楽しめる。
ワルシャワで一番有名なのは、おそらくマルシャウコフスカ通り [ul. Marszałkowska] にある「プラソヴィ [Prasowy] 食堂」だろう。数年前に内装を一新したこの店では、スープが3ズウォティ、いんげん豆のトマト煮 [fasolce po bretońsku] もたったの5ズウォティ。好立地ということもあり、学生から会社員、外務省に務める公務員まで、あらゆる職業、年齢層の人々が集まる場所になっている。
ノヴィ・シフィアト通り [ul. Nowy Świat] にある「ファミリイヌィ [Familijny]」は、ワルシャワでも一、二を争うミルク・バーとして名高い。ここはペー・エス・エス・スポウェム [PSS Społem](共産主義時代の生活協同組合)のロゴが入ったヴィンテージ食器で食事ができる貴重な店だ。本当に財布が寂しいときでも、7ズウォティさえあれば、麺入りトマトスープと甘いフレッシュチーズパンケーキの二品ランチが温かく出迎えてくれる。
同じような価格帯の店に、プラガ地区のフロリアンスカ通り [ul. Floriańska] に軒を構える「ルサウカ [Rusałka](スラヴ神話の水の女神)」があるが、こちらは小規模ながらも熱狂的な人気を誇る、隠れた名店だ。壁の木製パネル、ガラス天板が乗った正方形のテーブル、レジを打つ女性がつけているエプロン、明滅する天井の蛍光灯... 決して現代的とは言えないインテリアだが、時代を感じさせる雰囲気に惹かれるファンも多い。
ほかにも、1960年代から抜け出してきたような雰囲気が魅力的な「サディ [Sady] 食堂」(ジョリボシュ [Żoliborz] 地区にあるミルクバーで、地元の魅力的な人々を観察するにはうってつけ)、同じく時が止まってしまっているが、幅広い世代から人気を集める「ビェドロンカ [Biedronka] 食堂」(オホタ [Ochota] 地区)、50年以上の歴史を持ちながら、モダンなインテリアを兼ね備えた「バムビノ [Bambino] 食堂」(クルチャ通り [ul. Krucza] )など、古くからワルシャワの人々に寄り添ってきた店が数多く残っている。
1952年の開業以来、ワルシャワの人々に愛されているのが、マルシャウコフスカ通り [ul. Marszałkowska] にある「ズウォタ・クルカ [Złota Kurka](金の鶏)」。安定した評判で、行列ができることもしばしばだ。時代に取り残されるミルク・バーも多い中で、この店はメニューやホームページの英語化、クレジットカード支払いにも対応している。時代に応じた柔軟性を持ちながら、内装はやはり、パソコンやスマートフォンがSF映画の中にしかなかった頃を彷彿とさせるものだ。モダンとレトロが両立したこのスタイルからも、長く続く人気の理由が伺える。
1994年に開業したノヴォヴィエイスカ通り [ul. Nowowiejska] にある「レニヴァ・ゴスポディニ [Leniwa Gospodyni](なまけ者の主婦)」もまた、根強いファンを持つ店のひとつ。ポーランド料理の専門店だが、なんとその料理は中国の陰陽五行説に即して調理されているという。そういった点も含めて、一般的なミルク・バーに比べると現代的に感じられるかもしれない。
プラガ地区、タルゴヴァ通り [ul. Targowa] の「チェルヴォヌィ・ロヴェル [Czerwony Rower](赤い自転車)」では、典型的なポーランド料理だけでなく、創作料理もメニューに並ぶ。化学調味料を使わない家庭的な料理とシンプルで居心地の良い空間が魅力で、キクイモのスープ、鶏肉とケールのスープ、豚テールスープ、ウサギのサワークリーム煮といった料理は、すべて12ズウォティ以下だ。チェルヴォヌィ・ロヴェルはもともと、オープンドア協会 [Stowarzyszenia Otwarte Drzwi] が行う炊き出し活動の延長として作られた店。そのため、ここでは食堂の運営自体が支援活動の一部として機能している側面がある。社会復帰と再教育を兼ねて、オープンドア協会から支援を受けている人々が一部の調理を担当し、店の売り上げは、支援を必要としている人々のために使われている。
100年以上の歴史を持つミルク・バー。シンプルで飾り気のないインテリアも相まって、一部の店では1900年代にタイムスリップをしたような感覚に陥いってしまうに違いない。それでも、確かな美味しさと安定した安さで、いまも多くの人々に愛され続けている。
世界中のピエロギ
ピエロギは、ポーランド人には欠かせない「おふくろの味」。最近では、ピエロギに形の似ている餃子がポーランドへの進出を果たした。ピエロギ屋「トトゥ [ToTu]」(サスカ・ケンパ [Saska Kępa]、カバティ [Kabaty]、ジョリボシュ [Żoliborz]、ゴツワフ [Gocław] に店舗がある)では、せいろに入った餃子が10〜15ズウォティほどで売られている。現地の人々はといえば、格安で食べられるエキゾチックな味を楽しんでいるようだ。
フミエルナ通り [ul. Chmielna] をはじめ、市内に数店舗を展開している「パルニク [Parnik] 」の餃子は、皮の薄さが特徴。具材は十数種類の中から選ぶことができ、一人前が13〜14ズウォティ、付け合わせの酸辣湯が5ズウォティというお手頃価格だ。ただし、行列だけは覚悟しておかなければならない。もし並ぶことに抵抗があるようなら、ほぼ同じ値段でよく似た料理が味わえる、クルチャ通り [ul. Krucza] の「パロヴス [Parowóz] 」がおすすめ。
エレクトラルナ通り [ul. Elektoralna] にあるウズベキスタン料理店「マンティ [Manty] 」。この店の名前は、蒸し餃子のマンティから来ている。手早くランチを済ませたいときには、数分で出来上がる大盛りのマンティプレート(サラダ付き)が最適。マンティからそう遠くない場所にある「ツォン・カ・モモ [Tsong Kha Momo] 」(ヤナ・パヴワII通り [al. Jana Pawła II] )では、チベットの蒸しピエロギ「モモ」にも出会える。どれも一皿12ズウォティほどだ。
プラガ地区にある「スカミェイカ [Skamiejka] 」は、時間に余裕をもって訪れたい店。小ぢんまりんとした店内にはロシア音楽が流れ、ゆったりとランチを満喫できる最高の条件が揃っている。20ズウォティで食べられる、サワークリームとビネガーを添えたロシアのピエロギ「ペリメニ」、ジョージア(グルジア)のピエロギ「ヒンカリ」はすべて手作り。ソリャンカ・スープ [solianka] やウクライナのピエロギ「ヴァリェーニキ」もおすすめの一品だ。
中近東料理
中近東料理でおすすめなのが、ヤスナ通り [ul. Jasna] の「シェプュデイ・ベレク [Shipudei Berek] 」。イスラエル料理が専門で、フムス、イスラエル風ピザ、ラム肉の串焼き、野菜のグリルといった、シンプルで量感のある料理が、安定の安さと美味しさで食べられる。また平日には、選べる前菜、メインディッシュ、付け合わせとデザートがセットになったランチセット(20ズウォティ)が用意されているそうだ。
ポズナンスカ通り [ul. Poznańska] にある「ベイルート [Beirut] 」は、ランチメニューにタジン鍋、ファラフェル、シャクシューカ、キョフテなどが並ぶアラブ料理の店。モリエラ通り [ul. Moliera] とノヴォリプキ通り [ul. Nowolipki] にある「ベイルート・ファラフェル [Bejrut Falafel] も安くて美味しい店として評判で、具材たっぷりの料理の数々を目当てに長い行列ができることもしばしばだとか。どの料理にも新鮮なコリアンダー、パセリ、ミント、タヒーニソース(練り胡麻)が使われている。
チェーン店も、こうした個人料理店に負けていない。市内に数店舗を構える「アミリット・ケバブ [Amrit Kebab] 」は、10年以上もケバブ店として変わらない人気を誇っている。鶏肉や牛肉をピタパンで包んだボリューム満点のサンドイッチが10ズウォティほどで食べられるほか、空腹を満たしてくれる量感抜群のメニューが充実している。
アジア料理
アジア料理といえば、中華のテイクアウトしかなかった時代はもう昔のこと。少ない予算でも、いまでは甘酸っぱいソースのかかったココナッツチキン以外の選択肢がいくらでもある。アジア料理ブームで、最近は日本人が経営する日本食店も多い。ワルシャワの中心街に行けば、和食はもちろん、本格ベトナム料理、タイ料理、中華料理、韓国料理と、アジア各国の料理店や専門スーパーが軒を連ねている。(ただし、ブームに便乗しただけの「アジア料理のようなもの」を出す店も数多くあるので要注意)
「ヴィエト・ストリートフード・ビストロ [Viet Street Food Bistro] 」は、もともとバインミー(ベトナムサンドイッチ)を移動販売するフードトラックとして有名だった店。評判が広まり、今ではサスカ・ケンパ [Saska Kępa] に店を構えるまでになった。小さな店内にはテーブル席が数個あるだけだが、アジアンテイストのアットホームな雰囲気と安くて美味しい料理で人気を集めている。カリカリに焼いたベーコンに、ベトナム風のパテや揚げ豆腐など、バインミーにはさむ具材は様々。ほかにも、豚ひき肉とキクラゲの入ったバインゾー(ベトナム風ちまき)などがある。バインゾーは付け合わせとセットで12ズウォティ。バインミー、炒め物、牛肉のフォーも20ズウォティ以下とお手頃だ。
「ドゥジャ・ミハ [Du-za Mi-ha] 」は、格安でアジア料理が楽しめるチェーン店。牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉、シーフード、ワンタンなど、好きな具から選べるボリューム満点のフォーを食べるのに20ズウォティもかからない。何十種類にも及ぶメニューの数々が、どれも20ズウォティ以下という安さ。フォーのほかにも中華焼きそばなどが定番で、地元には何年も通うファンがいるそう。
クルチャ通り [ul. Krucza] にある「Omami」は、日本食に特化したレストランで、名物はラーメンや「ヒラタ・サンドイッチ」(蒸しパンに鴨、エビ、ベーコン、しいたけなどをサンドしたもの)など。ランチタイムにはアジア多国籍料理が楽しめ、スープとカレーや炒め物といった二品ランチが20~25ズウォティで食べられる評判の店だったが、2018年12月に惜しまれながら閉店を迎えた。
「Shabu Shabu」は、名前からも分かる通り鍋料理の店。出汁の入った鍋に好きな材料を入れ、自分好みの鍋を楽しめるスタイルは、ワルシャワでも人気のようだ。オーナーはワルシャワ育ちのベトナム人女性(両親がベトナムから移住している)。一鍋5ズウォティで、1〜5ズウォティの具材から好きなものを選べる。20ズウォティもあれば満腹になる量だ。とはいえ、20ズウォティ片手に一人鍋というのでは少し味気ない気もする。やはり鍋料理は家族や友人と食べてこそ、その美味しさが身にしみるものだ。
ポーランドの物価は、日本の約3分の1。「心ゆくまで買い物をして、予算を気にせず、気の向くままにランチを楽しむ」といった、ヨーロッパではなかなかできない体験もできてしまう。時間と予算を忘れた余裕のある旅の中で、こうした店をハシゴするのも良い思い出になりそうだ。
執筆: Magdalena Kasprzyk – Chevriaux, 2016.11
日本語下訳:YA、2017.12
編集:野又菜帆、YN Associates 2019.10