UFOが降り立った!宇宙船のような建物
1950年代末に始まった宇宙機の打ち上げは、1969年7月20日、ついに人類初の月面着陸に至った。これらの出来事は、ポーランドの建築にも影響を与えたのである。
地球外宇宙の征服は、映画、デザイン、そして建築に着想を与えた。1962〜63年に製作されたテレビアニメ『宇宙家族ジェットソン(The Jetsons)』では、主人公が空飛ぶ車で移動したり、UFOに似た家に住んだりしている。しかしこのような建物は、実際にポーランドで建てられていたのだ。
多目的アリーナ「スポデク」(Hala widowiskowo-sportowa Spodek)、カトヴィツェ
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多目的アリーナ「スポデク」,1972年,写真:ズビシュコ・シェマシュコ(Zbyszko Siemaszko)/Forum
ポーランドで最も有名な「スポデク」(*受け皿、空飛ぶ円盤の意)はカトヴィツェにある。1965〜71年にかけて建設された。特徴はその構造にあり、超近代的オブジェはまるで宙に浮いているようだ。都市の中心部にありながら、比較的開けた敷地に立っていることも、未来派的な形状を際立たせている。
とはいえ、カトヴィツェの「スポデク」がこのような珍しいデザインになったのは、建築家の宇宙への関心によるものではなく、鉱業被害地区に指定されている土地に建設されたこと、また使用目的に合わせて内装を自由に変える必要性から生まれたアイデアだった。
シニェシュカの高山気象台(Wysokogórskie Obserwatorium Meteorologiczne na Śnieżce)
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シニェシュカの高山気象台,写真:イェジ・パヴレタ(Jerzy Pawleta)/Forum
標高1600メートルに位置するシニェシュカの頂上へ続く山道を登り切ると、素晴らしい建築が出迎えてくれる。国立水文気象学研究所の気象台は、他に例を見ない建物だ。
1966年にヴィトルト・リピンスキ(Witold Lipiński)とヴァルデマル・ヴァヴジニャク(Waldemar Wawrzyniak)により設計された。この建物は未来派的外観と同時に、空間的機能性を見事に解決している。建築家は鉄筋コンクリートの軸に3枚のディスクを吊り下げた。中にはレストラン、展望台、観光客のための休憩所が設置されている。
イグルーの家(Dom Igloo)、ヴロツワフ
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こちらもヴィトルト・リピンスキによる建築。リピンスキは1961年、ヴロツワフのモニューシュキ通り(ul. Moniuszki)に自分と家族のための家を建て始めた。
小さな敷地にイヌイットの雪の家イグルーを彷彿とさせる住居が建った。イグルーの家は長年、観光名所となった。未来派の象徴を感じ取る人もいれば、氷で作った人類の最も原始的なシェルターへの回帰を見た人もいた。家の形から、ヴィトルト・リピンスキの妻はエスキモーだという噂も流れたそうである。
キェルツェのバスターミナル(Dworzec PKS w Kielcach)
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キェルツェのバスターミナル,写真:ウカシュ・ザジツキ(Łukarz Zarzycki)/Forum
1984年、UFOがキェルツェの中心に降り立った。空飛ぶ円盤かと見紛うバスターミナルが完成したのだ。
設計を主に担当したのはエドヴァルト・モジェイェフスキ(Edward Modrzejewski)だったが、専門家がチームで取り組んだ。形が面白いだけではなく、近代的な構造、何より移動の利便性が考え抜かれていた。丸い形は、乗客の移動がスムーズに行くようにという配慮に基づいている。このおかげで、乗客は四方に限らず、あらゆる方向へ出て行くことができるのだ。
ビャウィストクの聖ロハ通りの複合パビリオン
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ビャウィストクの聖ロハ通りの複合パビリオン,写真:マルチン・オヌフリユク(Marcin Onufryjuk)/Agencja Gazeta
ビャウィストクの「スポデク(Spodek)」は4つのパビリオンで構成され、中にはカフェなどが入っている。建設は1973年。当時、市では「中央収穫祭(Centralne Dożynki/ドジンキ)」という大規模な国家行事が開催されることになっており、スポデクは他のいくつかのパビリオンとともに、イベント参加者のために作られた。
聖ロハ通り(ul. Św. Rocha)にあるパビリオンのデザインは、ヘンリク・トチドゥウォフスキ(Henryk Toczydłowski)が手がけた。金属板の円盤のような未来派的形状は、寸胴な「飛行物体」を思わせる。
オルシュティンのウラニャ・ホール(Hala Urania)
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オルシュティンのウラニャ・ホール,写真:ウカシュ・ヴイチク(Łukasz Wójcik)/Forum
未来派的形状にぴったりの名前を持つオルシュティンの「ウラニャ・ホール」(*Urania/ウラニアは小惑星)は、建築家ヴィエスワフ・ゼノン・ピョントコフスキ(Wiesław Zenon Piątkowski)の設計に基づき、1973〜1978年にかけて建設された。ドーム型の建物を囲んで、まるで惑星のように環が一周しているが、これはエントランスの屋根と建物の中二階として機能している。
カトヴィツェのロジジェンスキ団地(Osiedle Roździeńskiego)
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ロジジェンスキ団地,カトヴィツェ,写真:ウカシュ・ヴイチク(Łukasz Wójcik)/Forum
地上27階建ての集合住宅は通称「星(Gwiazdy)」と呼ばれている。それぞれの建物が、8角の星の形をしているためだ。建設は1972〜1978年。設計はアレクサンデル・フランタ(Aleksander Franta)、ヘンリク・ブシュコ(Henryk Buszko)、タデウシュ・シェフチク(Tadeusz Szewczyk)が手がけた。この特別な形は、日当たりがなるべく良くなるようにという建築家の配慮から生まれた。三角の「星の腕」のおかげで、住居の内部には、外壁がまっすぐの場合よりも、多くの光を取り込むことができる。
ホジュフのシロンスキ公園の天文台(Obserwatorium astronomiczne)
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天文台、シロンスキ公園、ホジュフ,写真:ウカシュ・カリノフスキ(Łukasz Kalinowski)/East News
ホジュフ(Chorzów)のシロンスキ公園(Park Śląski)にあるこの建物は、完璧な比率と構成を実現しており、非常に興味深い。建設は1955年、設計はズビグニエフ・ソラヴァ(Zbigniew Solawa)による。鉄筋コンクリート造の建物は、円形の平面上に設置された2つのセグメントで構成されている。最も特徴的な要素は、高さ23メートルのドームで覆われた建物で、中には400席の講堂が入っている。
クラクフのヴィドク団地の聖ヤン・カンティ(ジョン・カンティウス)教会(Kościół św. Jana Kantego)
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クラクフのヴィドク団地の聖ヤン・カンティ教会,写真:AG/fotopolska(フォトポルスカ)/CC 3.0
クラクフのヴィドク団地(Osiedle Widok)は、当時の標準からは一線を画す建物でよく知られている。建築家のクシシュトフ・ビェン(Krzysztof Bień)は、団地の固定概念を打ち破り、住人にとって、より住みよい空間を作ろうと尽力した。1981〜1992年には、団地のはずれに同じ建築家の手による教会が建てられた。建築の目利きは、この建物にル・コルビュジエのロンシャンの礼拝堂の影響を見るが、ここを訪れる多くの人々は、この教会を宇宙船や潜水艦のようだと言っている。
執筆:アンナ・ツィメル(Anna Cymer)、2018年9月16日
日本語訳:パヴェウ・パフチャレク(Paweł Pachciarek)、YA、2021年1月
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