ポーランドの伝統的な冬景色7選
ポーランドの冬は時に厳しいけれど、その美しさは際立っている。この記事では、ユリアン・ファワト、ユゼフ・ヘウモンスキら巨匠による19世紀後半の写実主義絵画を7点取り上げ、これらの古典的作品と作者についてご紹介したい。
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ユリアン・ファワト,《熊狩り(Polowanie na niedźwiedzia)》,1888年,キャンバスに油彩,56x106 cm,写真:ビェルスコ・ビャワ歴史博物館(Muzeum Historyczne w Bielsku-Białej)
ユリアン・ファワト(Julian Fałat)はポーランドを代表する風景画家である。20世紀初頭に制作した、日本美術の影響を受けた印象派風の水彩画で最もよく知られている。《熊狩り》はファワトが初期にレアリズムに傾倒していた証拠であり、冬の精神を見事に表した傑作である。貴族の地所であったニェシフィエシュ(Nieśwież)(現在はベラルーシ領)での狩りを描いている。この絵画に表された自然は、ポーランド東部に見られる典型的なものである。
クラクフの婚礼
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アルフレド・ヴィエルシュ=コヴァルスキ,《クラクフの婚礼(Wesele krakowskie)》,1876-78年,キャンバスに油彩,個人蔵
この絵画の作者アルフレド・ヴィエルシュ=コヴァルスキ(Alfred Wierusz-Kowalski)が生まれた町スヴァウキ(Suwałki)は、その気候からポーランドの寒極とも呼ばれている。そのためだろうか、画家は雪の表現で右に出る者がいないとされたが、馬の見せ方にも長け、衣服などの細部にも目が行き届いている。行列や馬車のある情景を描くことを好んだ作家は、《クラクフの婚礼》の中に、自分のお気に入りの物や、最も描写を得意とした物を描き込んでいるという。だからこそ、この作品はこんなにも魅力的なのだろう。
ヤマウズラ
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ユゼフ・ヘウモンスキ,《雪上のヤマウズラ(Kuropatwy na śniegu)》,キャンバスに油彩,写真:ワルシャワ国立博物館提供
10年以上パリに滞在した後、ユゼフ・ヘウモンスキ(Józef Chełmoński)は1887年にポーランドの故郷に戻った。1887年以降に制作された代表作の一つである《ヤマウズラ》は、作家の汎神論的思想を表しているのだとも、19世紀に国が分割されていたポーランドのアレゴリーだとも言われている。いずれにせよ、果てしない白の中を行く群れは、ポーランドの最も寒い季節の峻烈な美を完璧に伝えている。
フツルの葬儀
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テオドル・アクセントヴィチ,《フツルの葬儀(Pogrzeb huculski)》,1882年,キャンバスに油彩,86x115 cm,個人蔵
テオドル・アクセントヴィチ(Teodor Axentowicz)のこの絵には、現在のウクライナ南西部に位置するカルパティ(カルパティア)山脈のフツル地方が描かれている。この地域とそこに住む山岳民族フツル人は、土地の風習や宗教的儀式、衣装に強い関心を持っていた画家によって、繰り返し描かれている。アクセントヴィチが描くフツル民族の背景には、雪に覆われた壮大な山並みがしばしば見られ、現在のポーランド南部のカルパティ山脈を想起させる。
ハルヌィ
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スタニスワフ・ヴィトキェヴィチ,《ハルヌィ(Wiatr halny)》,1895年,キャンバスに油彩,93x132 cm,写真:クラクフ国立美術館
「ハルヌィ(halny)」は、ポーランドのタトルィ山脈から吹き下ろす季節的な烈風の名前だ。この絵の中には、孤独な一対の木が風を受けている姿が見える。作者はスタニスワフ・ヴィトキェヴィチ(Stanisław Witkiewicz)。この山脈の麓にある美しいザコパネの町に長年住み、ボヘミアン的な生活を送りながら、山岳地方の民俗芸術に親しんだ。
冬景色
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ロマン・コハノフスキ,《冬景色(Krajobraz zimowy)》(部分),1886年,写真:クラクフ国立美術館
ここに描かれているのは、おそらくクラクフ近郊の田園地帯の風景だろう。ロマン・コハノフスキ(Roman Kochanowski)はこの作品で、冬の湿った気候を表現する能力と、色使いの巧みさを示している。画家が高く評価されていた資質である。曇りの日の慎ましい集落を描いたこの作品は、全体的に憂鬱な雰囲気を漂わせているが、説得力があり、視覚的に魅力的な方法でポーランドの冬を捉えている。
サスキ公園
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アレクサンデル・ギェリムスキ,《サスキ公園(Ogród Saski)》,1887年,写真:ワルシャワ国立美術館
アレクサンデル・ギェリムスキ(Aleksander Gierymski)は、ポーランドの傑出した写実主義画家の一人である。19世紀のワルシャワの最貧地区を描いた一連の作品でよく知られている。《サスキ公園》はこのシリーズの一部ではないが、首都の魅力的な眺めを切り取り、ワルシャワの庭園の一つを描いた都市風景である。画家が1887年にワルシャワを訪れた際に目にしたものである可能性が高い。裸の木々、茶色の地面、そして舞い落ちる雪片は、ポーランドの秋から冬への移行期に特徴的なものだ。同様の気候は、ポーランドの最も寒い時期が終わり、陽気を迎える季節にも見られる。
執筆:マレク・ケンパ(Marek Kępa),2017年1月
日本語訳:パヴェウ・パフチャレク(Paweł Pachciarek)、YA、2021年1月
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